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アグリ事業で活性化を 小田急電鉄と神奈中

経済 神奈川新聞  2017年01月27日 02:00

ミニトマトが育つビニールハウス。神奈中の遊休地を活用している=相模原市緑区
ミニトマトが育つビニールハウス。神奈中の遊休地を活用している=相模原市緑区

 小田急グループの小田急電鉄(東京都新宿区)と神奈川中央交通(平塚市)が共同事業で生産したミニトマトが、沿線のスーパーや百貨店の売り場に昨年末から並び始めた。アグリビジネスは長期的な人口減に伴う鉄道利用者の減少を見据えた「成長の種」。グループ傘下企業の連携で、収益構造の強化と沿線活性化を図る。

 「肉厚で甘いですよ」。相模原市緑区の津久井湖に程近いバス操車場脇のビニールハウスにミニトマトが実る。ブランド名は「かなか(神奈果)」。神奈川で栽培し、糖度が高く果実のように甘いことから名付けた。


グループ内のスーパーや百貨店の売り場に並ぶ「かなか(神奈果)」(中央)=川崎市麻生区(小田急電鉄提供)
グループ内のスーパーや百貨店の売り場に並ぶ「かなか(神奈果)」(中央)=川崎市麻生区(小田急電鉄提供)


 神奈中の遊休地(約3700平方メートル)に2016年5月、小田急電鉄がビニールハウスを建設し、同電鉄が資本参加する農業ベンチャーの銀座農園(東京都中央区)に栽培・出荷作業を委託している。収穫物はグループ内の物流拠点に集約し、県内や都内の系列百貨店やスーパーで販売。「小田急ファンにお届けする」(担当者)と同時に、あらかじめ販路を確保できる。

 ミニトマトは2種類育てており、糖度はイチゴと同水準の10度以上。「甘さを求める消費者ニーズに対応した」という。作業は5~6人体制で、特殊なフィルムを使った「アイメック農法」を採用。ビニールハウス内の温湿度状態や生育状況を常に把握できるシステムを導入し、作業効率を重視する。

 逆境は早々に訪れた。昨秋の天候不順で生育が遅れて収穫が1カ月半ほど遅延し、7月までの収穫量は当初見込みの18~19トンの「5割程度にとどまりそう」。一方で出荷は週2回ペースを維持できており、店頭では「1~2日で売り切れる」好評ぶりだ。

 鉄道利用者の減少を見据える同グループにとって、アグリビジネスは新たな収益の可能性を秘める。17年度まで3カ年の中期経営計画の重点項目に掲げる新規事業の開発にも含まれる。静岡など他県進出を視野に入れた時期もあったが、農業の“初心者”による持続的な農場運営には地域の理解が欠かせない、という姿勢で地元農家との新たな連携も模索している。

 温室や土地の造成費などに約7千万円を投じた。利益は売り上げの1割程度を見込む。「グループ全体への利益面のインパクトは薄いが、アグリビジネスは地域活性化の使命を担う事業」と説明する。

 今回のビニールハウスは1900平方メートル弱だが、収穫量が安定し、規模が拡大すれば採算性がより向上するという。5年以内をめどに、相模原市内でさらに建設を計画している。地道な取り組みだが「収益構造の強化を図り、就労機会の創出や景観維持にもつなげたい」と同社は話している。


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