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【K-Person】小曽根真さん
自由な即興こそ、ジャズの神髄 

K-Person 神奈川新聞  2016年04月24日 10:56

小曽根真さん
小曽根真さん

小曽根真さん

 ジャズピアノの名匠チック・コリアと5月からデュオ・ライブツアーで全国9カ所を巡る。コリアとの初共演から20年、海外の音楽祭などでも共演してきた二人だが、念願だった国内でのピアノ・デュオライブが実現した。スタートは5月7日のよこすか芸術劇場だ。

 19歳で渡米。1983年、ジャズの名門バークリー音楽大学を首席で卒業し、アルバム「OZONE」でデビュー。コリアとは、デビューした頃に出会い、憧れを抱き続けてきた。観客の一人をステージに上げ、客の顔を見ながらまるで肖像画を描くようにピアノを即興で鳴らすコリア。自由な振る舞いに、ジャズの神髄を改めて見せつけられた。

 「リハーサル通りに演奏するジャズミュージシャンが一番つまらない」。今回のツアーでも、「自由」にこだわる。曲目はステージ上で決め、二人の息を合わせた即興を披露。コリアの希望で、ピアノの音はマイクを通さず、アコースティック(生音)だけを会場に響かせる。「料理でいうと、素材の良さをそのまま出す。弾き手が感じている音をそのまま味わってほしいんです」

 5歳の時、ピアノ教室に通ったが、ピアノの入門教材「バイエル」が好きになれず、すぐに辞めた。「人から教わるのが大嫌い」。家にあった電子オルガンで遊んでいるうちに、レコードで聴いたジャズの曲をまねして弾くのが得意になった。

 転機は、12歳の時。超絶技巧のジャズピアニスト、オスカー・ピーターソンのコンサートに衝撃を受け、もう一度、「嫌いなピアノ」に挑戦する気持ちが湧き上がった。「ピーターソンのようになりたい」。地元のカトリック教会で、音楽教室を開いていたフランス人神父に1年半ピアノの基礎を教わり、大学に入るまで独学でピアノをマスターした。

 「自由な即興こそがジャズ」。そう目を輝かす一方、クラシックにも精通し、海外の著名なオーケストラとも共演を重ねている。両ジャンルとも共通して大切にしているのは「仲間」。互いに尊重し、相手の演奏に耳を澄ます。「仲間が集中し、音が一つになったときこそ、僕も自由にピアノを弾けるんです」

お気に入り


 「車が趣味だけど、やっぱり音楽かな」。ジャンルは問わないくらい音楽が好き。ジャズ、クラシック、南米ミュージック…。音楽の肝は「リズム」と話す。「ジャズをやってきた人間は、不協和音とか、リズムを愛する。クラシックもリズムが大切だって、モーツァルトを聴いて気が付いた」。ダンスのリズム感覚は苦手だが、「ピアノを弾きながらだと、すごく自由に踊れる」と笑う。

おぞね・まこと
ピアニスト。1961年兵庫県出身。国立音楽大学教授。鎌倉市在住。83年、米CBSと日本人初のレコード専属契約を結び、アルバム「OZONE」で全世界デビュー。2003年にグラミー賞にノミネート。ジャズピアニストとしてだけでなく、クラシックにも取り組み、国内外のオーケストラとも共演を重ねる。また、テレビ番組のサウンドトラックや映画、舞台音楽も手がけるなど幅広く活動。13年度文部科学大臣賞を受賞。「チック・コリア&小曽根真 ピアノ・デュオ プレイズ・アコースティック」は5月7日、よこすか芸術劇場で開催。午後2時開演。問い合わせは、同劇場電話046(823)9999。

記者の一言
 「よく、一日何時間練習するんですか?と、愚問を聞かれます」と小曽根さん。ドキリとした。今まさに聞こうとした瞬間だった。「しなきゃいけないからやる練習と、この曲を弾きたいから弾くという練習方法では、後者の方が明らかに意味がある」。なるほど。仕事でも、書かなきゃという意識で取り組むより、書きたいから書くんだと、キーボードをたたいている時の方がはるかに楽しい。「好きこそ物の上手なれ」と話す小曽根さん。語り口からは、音楽とピアノへの情熱が伝わってきた。

 奥さまは、昨年、このK-Personに登場していただいた女優の神野三鈴さん。「音楽は自分では苦手と言う彼女ですが、するどい指摘が来ますよ」とほほ笑み、奥さまへの愛情も垣間見えた取材だった。




チック・コリア×小曽根真公演のチラシ
チック・コリア×小曽根真公演のチラシ




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