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自転車記者が行く・モモンガに飼われて

話題 神奈川新聞  2016年04月22日 12:21

お気に入りのモモンガを手にする阿部さん(右)と上田さん=モモンガスタイル
お気に入りのモモンガを手にする阿部さん(右)と上田さん=モモンガスタイル

 今日は良いネタが見つからないなとペダルをこいでいたら、店頭に「フクロモモンガのショップ」と見えた。一も二もなく滑空だ。「これだけという専門店は日本では多分うちだけですね」。着地成功。

 JR鹿島田駅から徒歩5分ほど。店名はずばり「モモンガスタイル」(川崎市幸区下平間)だ。きっかけは2009年。店主の阿部和幸さん(48)は「人に馴(な)れる小動物っていないかなと探していた」。そして出合ってしまった。

 飼い主を認識する。呼び名も覚える。餌を手でつかんで口に運ぶ。外に出すとじゃれる。「狭いところが好きなので、服の中に入ってきたり」。全てがかわいい。ハートをわしづかみされた。

 元は時計眼鏡店・優宝堂の2代目。「今の時代、それだけだと厳しいかなと」。モモンガは散歩が不要で、鳴き声も小さい。「においがやや気になる人がいるかもしれませんが、今の住宅事情に適したペットです」。魅力をもっと伝えたいと思った。14年9月に敷地内に店舗を構え、家業と二足のわらじとなった。

 ニホンモモンガがネズミ目リス科なのに対し、豪州が故郷のフクロモモンガはカンガルー目。有袋類なので、子どもは母の腹の袋の中で育つ。真夏と真冬はエアコンが必須だが、「飼育も繁殖も難しくはない」。価格は色や模様で違い、2万円ほどからと手頃だ。

 当初は飼育情報が少なかった。文献を調べ、餌の販路を探し、器具も自作した。生来の凝り性なのだ。豊富な知識を頼られ、常連も増えた。上田七恵さん(25)は、神経質なわが子の相談に乗ってもらううちに店員になってしまった。

 髪の短い上田さんの肩に乗る姿はまるで、風の谷のナウシカで登場するキツネリス「テト」のよう。って伝わらないかと思ったら、お二人は笑ってくれた。「もう、僕らはモモンガに飼われちゃっているんですよね」と阿部さん。いい笑顔だ。僕は仕事に飼われています。うそです。

 2013年春まで横浜を疾走していた「自転車記者」が今度は川崎を走り回ります。佐藤将人と塩山麻美が担当します。歴史ある店、面白い人、変わった人、街の不思議…。何でも結構ですので情報提供、大歓迎。連絡先を明記の上、ファクス044(211)0555まで。


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