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川崎出身の女性監督・田中圭
団地から生と死見つめ ドキュメンタリー映画「桜の樹の下」

カルチャー 神奈川新聞  2016年04月19日 09:41

撮影した団地を背景に、「これからも自分が育った川崎の街を撮り続けたい」と話す田中圭監督 =川崎市(トップ)
撮影した団地を背景に、「これからも自分が育った川崎の街を撮り続けたい」と話す田中圭監督 =川崎市(トップ)

 川崎市内の市営団地を舞台に、単身高齢者の生と死を見つめたドキュメンタリー映画「桜の樹の下」が、東京のポレポレ東中野で公開されている。監督は、同市出身の田中圭(28)。約3年にわたって団地に通い続け、貧困や孤独に直面しながらも、互いに支え合って生きる高齢者らの“素顔”をフィルムに収めた。

 高度経済成長期に労働者を受け入れるベッドタウンとして宅地開発が進められてきた川崎市。同市内にあるこの団地も、かつては働き盛りの若者らでにぎわっていたが、今では単身高齢者がほとんどだ。映画の主人公は、男女4人。生活保護、障害者年金、遺族年金などを受けながら1人暮らしを営んでいる。

 「早く迎えにきてよ」。亡き夫に語りかけるようにつぶやく関口ことじさん(79)。時折見せるさみしい表情もあるが、いつも笑顔を絶やさない。親友の岩崎びばりさん(71)は、粗大ごみに出された洗濯機や冷蔵庫などを収集することが趣味。物が捨てられず、部屋は「ごみ屋敷」だ。そんな岩崎さんを心配して、関口さんが自分の部屋に岩崎さんを招き、寝床やお風呂を提供する。

 男性陣も、個性的な人々が登場する。川名俊一さん(72)は、脳梗塞で倒れ左足に後遺症を患いながらも、芝居の脚本を執筆し、団地を「巣箱」に例える。「入ったはいいが、出られない」と、鋭い感性で現状を分析し、舞台化を志す。目の不自由な大庭忠義さん(65)は、ベランダで月明かりを楽しみながら、「自分の死後は献体を」と、世の中に役立つことを望む。

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