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無人状態、防犯に懸念
住環境どう維持 米軍退去の根岸住宅地区

社会 神奈川新聞  2016年04月14日 10:12

自宅前で住環境悪化への不安を説明する佐治さん=横浜市中区
自宅前で住環境悪化への不安を説明する佐治さん=横浜市中区

 米軍根岸住宅地区(横浜市)で米軍関係の居住者が昨年末で退去し、地区内で暮らす日本人住民が住環境の維持に不安を抱えている。広大な敷地が“ゴーストタウン”状態になったことで、防犯や水道水の水質低下といった問題が噴出。米軍施設内で日本人が暮らす全国で唯一のケースとされるだけに、市も対応に苦慮している。

 「まるでゴーストタウン。いつ不審者が入り込んでくるか分からない」。同地区で暮らす佐治実さん(68)は、米関係者退去後の現状を不安視する。

 市などによると、同地区内には「飛び地」のように民有地が存在し、佐治さん一家を含む日本人2世帯が居住。周囲が終戦後に米軍に提供される中、経緯は不明ながら非提供地として取り残されたとみられる。

 43ヘクタールの地区内には、385戸の米軍住宅のほか小学校などの施設が立ち並んでいるが、将来的に日本に返還されることを見据え、米軍関係者は昨年末までに退去を完了。今は日本人住民と数人の警備職員以外、無人状態となっている。

 残された住民たちは、防犯面だけでなくインフラへの影響も懸念する。部分利用してきた米軍の水道管は、軍関係者が退去して利用者が減少。管内に水が長時間とどまるため消毒効果が低下し、1月には法令が定める残留塩素濃度の基準値の下限が検出されたという。

 現在は水を循環させるために常時放水しているほか、平日は毎日、市水道局の職員が水質検査を実施している。ただ、放水のための水道料金は月数万から十数万円に上る。日本人住民には負担を求めないが、「市で負担するか国に負担を求めるかなど、庁内で議論している状況」(市水道局)という。

 妻みどりさん(64)の祖父が大正時代に別荘として建てた木造2階建て住宅に妻、長女の3人で暮らす佐治さんは、「いつまで無人状態が続くか分からず、引っ越そうにも国が補償してくれる訳でもない。安心して暮らせるようにしてほしい」と訴える。

 市基地対策課は「米軍関係者の退去後も、日本人住民の方の生活状況に影響が出ないようにしていきたい」としている。


根岸住宅地区
 横浜市中、南、磯子区にまたがる米軍住宅地区。総面積43ヘクタール。1947年に接収され、米軍の家族住宅として整備された。米海軍横須賀基地司令部(横須賀市)が管理している。2004年の日米合同委員会で返還方針が決まっているが、具体的な時期は示されていない。


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