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ジャズ聖地で一歩 野毛の喫茶「ちぐさ」発

カルチャー 神奈川新聞  2016年04月13日 02:00

時にたおやかで時に雄々しい演奏で観客を魅了した小川さん=9日、のげシャーレ
時にたおやかで時に雄々しい演奏で観客を魅了した小川さん=9日、のげシャーレ

 横浜・野毛にあるジャズ喫茶の名店「ちぐさ」の名を冠した新人発掘のための「ちぐさ賞」に選ばれたフルート奏者の小川恵理紗さん(27)。8日にアルバムを発売、9日には横浜市中区の「のげシャーレ」で記念の初ライブを行った。「日本ジャズ発祥の地である横浜で、ジャズを、そしてちぐさを大切にしている方々に聴いてもらえたのがうれしかった」と興奮の第一歩を記した。

 雄々しい音色が、観客の肩を揺らす。軽やかでたおやか。フルートのイメージを覆す二面性が、満員の会場を惹(ひ)きつけた。

 保土ケ谷区で育ち、叔父の影響でフルートを手にした。中学を出ると、カナダへ留学した。ジャズに力を入れていた高校だった。先生が言ってくれた。「あなたのジャズセンスは、神様からの贈り物よ」と。

 音大への進学を勧められた。自分が音楽で生きていくなんて。でも恩師は言ってくれた。「遅すぎることなんてない」。音大卒業後、米・ニューヨークでの活動などを経て、2013年に帰国。そしてちぐさ賞を受賞した。人生は自分の思いと力で変わっていくのだと知った。

 ジャズのフルート奏者は、国内では数えるほどだ。なじみが薄い上、サックスやピアノなどに音の強さでかなわない。埋没しない力感を磨くとともに編み出したのが、打楽器の音を口で出すボイスパーカッションをしながら吹くという演奏法だ。「人が思いつかない音を出したかった」。唯一無二の飛び道具は“一聴”の価値ありだ。

 数多くの名プレーヤーが通ったジャズ喫茶ちぐさのことは、「正直あまり知りませんでした」。いま、時間を見ては通ってレコードをかけてもらっている。「もっと実力をつけて、世界中のジャズミュージシャンと競演したい」。横浜、ちぐさ発。手にしたフルートは、出航の汽笛だ。


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