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がん早期発見の検査機器を開発 JVCケンウッドなど

経済 神奈川新聞  2016年04月09日 13:49

血液を用いてがんの早期発見に役立てる検査機器の試作機(JVCケンウッド提供)
血液を用いてがんの早期発見に役立てる検査機器の試作機(JVCケンウッド提供)

 JVCケンウッド(横浜市神奈川区)と医療機器製造・販売を手掛けるシスメックス(神戸市中央区)は、細胞から分泌される微粒子「エクソソーム」を血液から抽出・測定し、がんの早期発見に役立つ検査機器の共同開発に乗り出した。JVCケンウッドはブルーレイディスクなどで培った光学技術を応用。同社の辻孝夫社長が8日までに神奈川新聞社の取材に応じ、「医療機器市場は海外開発品が大多数。日本で開発から商品化まで一貫して行い、日本の電子産業の存在感を世界に示したい」と意気込んだ。

 両社が共同開発するのは、病気の原因となる細胞が血液中に分泌したエクソソームを捉えて検査する装置。分泌された数の測定や抽出に、JVCケンウッドの光ディスクの技術を活用する。

 同機器では、血清の検体をディスク上に垂らし、読み取り装置にかけることでエクソソームを計数する。エクソソーム表面の特定タンパク質と結合するナノビーズを用いて、疾患と関係のあるものを分別。そして、選別したエクソソームとナノビーズの複合体の数を光ディスク技術で読み取る。一方、ディスク上のエクソソームから遺伝子物質を抽出・解析する工程にはシスメックスの高感度測定技術が応用される。エクソソーム検出用ディスクは他の検査機器との互換性なども考慮し、直径8センチのシングルCDと同形とした。

 血液や尿などの体液中に分泌されたエクソソームは、表面と内部にタンパク質や遺伝子物質(マイクロRNA)を含むことが近年判明し、注目が集まっている。がん患者のエクソソームには特異な情報が詰まっていることが知られており、血液を用いた診断には血液中の分泌量の測定と分離が不可欠とされる。だが、赤血球や血小板に比べて非常に小さいため、従来手法で一つ一つ抽出するのは困難だったという。

 そこで、JVCケンウッドは映像・音響機器に使われていた光ディスクの読み取り技術の応用を2008年ごろから模索。ブルーレイディスク表面で情報を記録する「ピット」と呼ばれる細かい穴とエクソソームの大きさが近く、「ディスクの情報を読み取るようにエクソソームを解析できるのでは」との発想に至った。

 同機器による検査は採血だけで高精度な結果が得られ、体への負担が少ないという。がんの早期発見や、経過観察時の高精度な診断の実現にも期待がかかる。「将来的に大学や病院などで臨床研究してもらうことを目指しており、17年度中の発売を見込んでいる」と同社担当者。

 がんや難治性疾患を巡る診断・治療技術の向上や医療費抑制といった社会課題を背景に、日米両国でエクソソームやマイクロRNAに関する研究が進められている。今回のシステムをはじめ、辻社長はヘルスケア領域での新たな事業展開に意欲を示す。「長年培った自社技術を生かし、社会に大きく貢献できるソリューション分野で勝負したい」と語った。


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