
3日午前5時ごろ、相模原市緑区青根の市立青根小学校の近隣住民から「爆発音がして小学校が燃えている」と119番通報があった。消防隊員約100人が消火に当たったが、木造2階建て約1300平方メートルを全焼した。けが人はなかった。津久井署が出火原因を調べている。
同校は1943年に建てられ、県内最古で唯一の現役木造校舎。昨年4月、市の登録有形文化財に指定された。
同校近くに住む男性(61)は、「午前4時50分ごろ『パン、パン』という花火のような音がして目が覚めた。あっという間に火が燃え広がった」と話した。
同校によると、2日は5日に開かれる入学式や新学期の準備のため5人の職員が出勤し、午後6時半ごろ戸締まりをして帰ったという。
◆「地域の誇り」住民衝撃
津久井地域の山あいにある相模原市立青根小学校は、集落の過疎化とともに児童数が減り、全校児童は入学式を控えた新入生1人を含め4人だが、長年地域のシンボルとして愛されてきた。火災による焼失という突然の別れに、地域住民らは「言葉にならないほど悲しい」と大きなショックを受けている。
同校は、学制発布翌年の1873年に開校。1941年に火災で一度焼失し、現在の校舎は43年に住民総出で建て替えられたもの。学校裏の山林から切り出したヒノキを校舎の骨組みに、杉を外壁にそれぞれ使用したという。
「地域の人たちは青根小に誇りを持っていた」。卒業生で、青根地区の自治会やPTAなどでつくる青根地域振興協議会の関戸正文会長(66)は、学校の存在をこう表現する。
数年前、古くなった学校を建て替えようという議論があったが、地域の人々は「両親や祖父母が守り続けてきた学校をそのまま残そう」と主張したという。関戸さんは「学校を残すことができなかったのが悔しい。残念としか言いようがない」と声を震わせた。
約20年前からおよそ10年間同校に勤務した元教諭の男性(60)は、消防車のサイレンを聞いて現場に駆け付けた。「学習発表会など学校行事に地域の人が大勢来る、地域の中心だった。こんなことになるなんて、これからが心配だ」と話した。
