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ワカメ養殖でCO2削減分埋め合わせ 横浜市の事業が軌道

社会 神奈川新聞  2016年04月03日 02:00

横浜ブルーカーボンの取り組みの一つ、横浜・八景島シーパラダイスのワカメ収穫イベント=2014年3月、横浜市金沢区
横浜ブルーカーボンの取り組みの一つ、横浜・八景島シーパラダイスのワカメ収穫イベント=2014年3月、横浜市金沢区

 海にすむ生き物による二酸化炭素(CO2)の吸収効果に着目した、横浜市の「横浜ブルーカーボン」事業が軌道に乗り始めた。ワカメ養殖などに力を入れることで、どうしても削減できない分を埋め合わせる「カーボン・オフセット」の考え方を基本に、イベントなどと連携。先駆的な取り組みとして専門家の評価も高く、新たな海の環境活動として注目を集めている。

 約140キロの海岸線を有する同市。国連環境計画(UNEP)が打ち出した手法「ブルーカーボン」に早くから注目してきた。

 UNEPは、アマモなど海洋植物が吸収するCO2のみを想定しているが、横浜市はそれに加えて、地産地消を推進するワカメ養殖なども取り入れたプロジェクトとして「横浜ブルーカーボン」を開始。2011年度に横浜・八景島シーパラダイスで検証を開始し、有識者や地元関係者による検討委員会を設けた。

 カーボン・オフセットの初めての実践は、14年9月、同市金沢区で開かれた横浜シーサイドトライアスロン大会だった。

 大会運営でのエネルギー利用や出場者の移動によるCO2排出量を3・13トンと算定。それを相殺するべく、八景島沖でワカメを養殖する市漁業協同組合などに、参加者寄付金と大会運営費の一部計3万4560円を贈り、養殖量の拡大に充てた。

 さらに規模の大きい世界トライアスロンシリーズ横浜大会(15年5月)でも導入。大会事務局は「環境に優しい大会を目指しており、非常にマッチングした取り組み。選手の意識付けにもなっている」と歓迎する。

 市はプロジェクトによって、13、14年度に34・4トンの削減効果があったと認定。市漁協による地元産ワカメの養殖・販売、NPO法人海辺つくり研究会が臨港パーク前の海域などで行う啓発イベント、横浜八景島が子どもたちを対象に開くワカメの植え付けイベントなどが実施された。

 市温暖化対策統括本部プロジェクト推進課は「脱温暖化に取り組むとともに、海洋にあふれる資源を有効活用したい」と狙いを話す。

 港湾空港技術研究所(横須賀市)沿岸環境研究チームの桑江朝比呂チームリーダーは、「海を利用したカーボン・オフセット事業は国内外含めておそらく皆無ではないか」と、先進的な取り組みとして評価。国内では複数の省庁や自治体が興味を示し、検討が始まっているという。

 一方で課題として挙げるのが、「売り手と買い手をマッチングさせ、取引の数量を合わせる市場形成が必要。準備には相応の時間がかかる」こと。さらに、「活動場所を市内にとどめると、例えば海藻を増やせる候補地が限られるため、どうしても制約ができる」などと指摘する。

 20年東京五輪では、セーリング競技が藤沢市の江の島周辺で開催される。多くの人が集まるイベントと海の環境活動との連携に、関心は高まりそうだ。同課は「将来的にはカーボン・オフセットをほかの競技にも広げていきたい」と意欲を見せる。


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