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時代の正体〈283〉手探り続く市民勝手連

時代の正体 神奈川新聞  2016年04月02日 11:08

神奈川県内の市民勝手連
神奈川県内の市民勝手連

 夏の参院選で「野党共闘」を応援する市民グループが県内各地で生まれている。昨年12月、県内全域を網羅する市民勝手連「ミナカナ」(みんな、かながわ)の発足を皮切りに、横浜、川崎、湘南地区など七つの勝手連が立ち上がった。いずれも安全保障関連法の廃止と立憲主義の回復を掲げる。「自民1強」体制にいかに対抗するか-。主婦や学生、自営業やサラリーマンらさまざまな顔ぶれが各地で手探りの活動を続けている。

危機感


 「先日、田んぼのあぜ道に立って、小田急線の線路に向かって『野党共闘』の旗を掲げました。泥臭くてもいいから、とにかくアピールしよう、と」

 3月27日、県内の市民勝手連が集まった「ミナカナ全地域大交流会」。南足柄市の綱島麻実さん(40)が話すと、会場からは笑い声と拍手が沸いた。約100人が集まったその場で、綱島さんは「ツギセン○@県西」(※)の活動を紹介した。


「「主権者として政治を捉える大切さを、子育てに追われている同じママたちにも共感してもらえたら」と話す「ツギセン○@県西」の綱島麻実さん
「「主権者として政治を捉える大切さを、子育てに追われている同じママたちにも共感してもらえたら」と話す「ツギセン○@県西」の綱島麻実さん


 「2児の子育てをしている普通の主婦なんですが、まずは自分ができることをしよう、と。でも、必死なんです」

 思い出すのは、昨夏の安保法案の成立をめぐる安倍政権の手法だ。「国民の生活に深くかかわる法律を、強行に数の論理で推し進める姿勢に危機感を持った。国民の声を反映してくれる議員がいなければ、政権与党の思うままにどんな法律も通されてしまう」。有権者の声を聞いてくれる候補者を応援したいと、地元市議らと勝手連をつくった。

※「ツギセン○@県西」の○印はハートマーク

独自色


 改憲を公言する安倍政権に対し、県内の市民勝手連は「立憲主義の堅持」という目標では共通するものの、その活動内容や形態はさまざまだ。

 例えば、湘南地区の「@湘南市民連絡会」。九つのワーキンググループを設け「投票率アップチーム」、選挙学習会を開く「選挙カフェチーム」などの役割を決め、独自に動く。投票率アップチームは18歳選挙権を見据え、高校の卒業式で投票を呼び掛ける「選挙カード」を卒業生に配布した。

 ミナカナ世話人で弁護士の武井由起子さん(48)は「地域によって抱えている悩みも異なる。憲法13条が『すべて国民は、個人として尊重される』とうたっているように『みんな違って、みんないい』。それぞれが好きな活動を行い、ゆるくつながっていければ」と話す。

一本化


 ただ、野党共闘の成果が問われる参院選は間近に迫る。神奈川選挙区の改選定数は4。協力を呼び掛ける市民勝手連だが、最終的にどの候補者を応援するのかは決まっておらず、悩みの種だ。

 ミナカナ世話人の石井麻美さん(47)は「野党候補がたくさんいる神奈川において、どのように共闘を進めていくのかは本当に難しい」と打ち明ける。一方で「市民が政党に物を言え、影響力を与えられる力を持てることが大事」とも話す。

 各党の地方組織を回り、市民の立場から意見を伝えるほか、野党議員との面会、市民連合の必要性を訴える学者との話し合いも重ねてきた。


「みんなの声を伝えていく役割を果たしていきたい」と語る「ミナカナ」の石井麻美さん
「みんなの声を伝えていく役割を果たしていきたい」と語る「ミナカナ」の石井麻美さん


 3日には、市民連合横浜☆ミナカナ主催の「選挙フェスタ-神奈川のつどい-」(午後2時から)が関内ホール(横浜市中区)で開かれる。学者や野党国会議員らも参加し、今後の大きなうねりにつなげたい考えだ。

 石井さんは言う。「それぞれの支持政党の枠を超えた共闘はこれまでにない動きだと思う。市民が反安倍政権でまとまり、投票行動までつなげられるか。議論を重ねていきたい」

【各地の市民勝手連と主な発言】



ミナカナ川崎
 地域版として昨年12月からスタートした。メンバーは、安保関連法に反対する「ママの会@神奈川」、川崎市で活動してきた市民団体、初めて選挙に携わる市民、それぞれが同じ割合で50人余りが参加している。私たち市民の姿をきちんと見せようということで、5野党の県連を回り、県連レベルでの協議を求めている。選挙情勢の勉強会も開いているが、情勢はどんどん変わっているので、臨機応変に対応できればと思う。県内の立候補者が確定した際は応援する選挙陣営と協力し、市民参加型の選挙として盛り上げていきたい。

市民連合横浜☆ミナカナ
 名前に☆が入っています。昨年12月、ミナカナ発足時の勉強会で、選挙ジョッキー座間宮ガレイさんに「目標を同じくする者は、考えが違ってもつながらなければだめだ。10万、20万の単位での票をまとめることはできない」と言われ、まさにその通りだと思った。私たち市民がお互いを認め合い、つながることができなければ、分断され終わってしまう。ミナカナや(安保法に反対する大学生らでつくる)シールズ、こうした新しい形に可能性をはっきり見いだして、これが時代の表れなんだと意識してつながっていきたい。私たち、横浜は年配の人が多いが、そういう決意を込めて、名称を決めた。

@湘南市民連絡会
 昨年12月、湘南地区に立ち上げた。メンバーは100人弱。顔ぶれは自営業や主婦、ジャーナリスト、レスラーの政治家などさまざまだ。三浦半島では「UNITE三浦半島」として活動している。思想信条や職業などは問わず、自立した個人が互いの尊重を認め、ゆるくつながる場を提供している。九つのワーキンググループがあり、投票率アップチーム、選挙学習会を開く選挙カフェチーム、若者プロジェクトなどに分かれている。先日は、高校の卒業式で投票を呼び掛ける「選挙カード」を配布した。大学の入学式でも配りたい。

ツギセン○@県西
 小田原や南足柄市など県西地域に住む30~80代の約50人が参加している。国民生活に深くかかわる法律を、強行に推し進める安倍政権の動きに対して危機感を持ち、市民と地方議員と一緒に立ち上げた。「ツギセン」は次の選挙という意味。4月10日には、経済学者の金子勝さんを招いた講演会「アベノミクスは地域を豊かにするのか?~食、エネルギー、暮らしから考える~」を開成町で開催する。選挙とは少し離れるけれど、経済に興味のある人や食べ物の安全に不安を感じている人など、より多くの人に来てもらえたらうれしい。

「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会
 県央地区で市民勝手連を立ち上げる準備をしている。実行委としては、安保関連法が強行採決された後、野党5党に「安保関連法を廃止にするため、選挙協力してください」というネット署名を集めて、議員会館で議員に会って話をした。神奈川の選挙区でも同様のことをしたいと思い、3月上旬、九つの市民団体と各政党の県連を回った。参院選と衆院選の同時選挙も見据え、他の市民勝手連と情報を共有していきたい。

ミナカナ
 安保関連法に反対する「ママの会@神奈川」のメンバーが中心となり、昨年12月に立ち上げた。安保関連法の廃止と立憲主義の回復を求めているが、問題はそれにとどまらない。TPP(環太平洋連携協定)や教科書問題、子どもの貧困や保育園問題など根っこはつながっている。安倍政権下で進められている、国民の声を無視した政策に対して「NO」を突き付けるには、選挙で野党議員を当選させ、国会の議席配分を変えるしかない。全国の市民勝手連と全国ネットワーク「ミナセン(みんなで選挙)」を立ち上げ、情報、意見交換を行っている。


昨年12月2日の「ミナカナ」結成集会
昨年12月2日の「ミナカナ」結成集会

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