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旬漢〈16〉
魔術かけたい 萩原聖人

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神奈川新聞  2004年06月06日公開  

27日に本多劇場で始まる舞台「魔術」に出演する俳優の萩原聖人さん
27日に本多劇場で始まる舞台「魔術」に出演する俳優の萩原聖人さん

 高架下のおでん屋台で、3人の男、1人の女が展開する舞台「魔術」が東京・下北沢にある本多劇場で27日から上演される。男役で出演する俳優の萩原聖人(44)に見どころを聞いた。

 「登場する4人それぞれに抱える不条理があって、4人の会話は基本、かみ合わない。でも人生もそうじゃないですか。かみ合っているように見えて、実はから回りしているということは多い」

 線路の上をキシキシと進む電車。気配はするが、人の姿は見えない。街をさまよい、ともった明かりに吸い寄せられるようにして、4人は屋台ののれんをくぐる。

 「明かりって、明かりに該当するような人っていますよね。温かさだったり、照らしてもらえるんじゃないかっていうよりどころ。でも本当にそうなのか。確認をしたとき、孤独になるかもしれない。人はうそつきだから」


 茅ケ崎で育ち、中学3年のときに知人と行ったアメリカ旅行の際、ニューヨークで観た映画に感銘を受け、役者を志した。新宿の母の店でアルバイトをしていたとき、常連客のプロデューサーの目にとまり、ドラマ「あぶない刑事」で1987年にデビュー。テレビドラマ、映画で活躍してきたが、デビュー時から舞台がバックボーンにあった。

 「自分で劇団を立ち上げたり、演劇は欠かせないもの。いまは、『この人と!』と心を許せる人たちと年に1本出演をさせていただいています。演劇は信頼関係の中で作る楽しさがあって、言葉にするとくさいけど、一緒に苦しみを乗り越えることができる人と、作品を作りたい」

 昨年は、俳優・仲村トオルが主演した「グッドバイ」に出演。ことしは「調教師」(2005年)、「4×4」(08年)、「すうねるところ」(12年)でタッグを組み、気心が知れた内藤裕敬が書き下ろし演出する舞台を選んだ。

 「出演者ののみ込みが悪いと、業を煮やして演出家自ら4役を演じて僕らに、作品を説明してくれたこともあって。でもそのくらい難しい本。役者って答えを与えられると、楽になることが多いんですけど、本番を間近に控えて、まだその答えにすらたどり着かない。わずかに、こうかなと思うものはあるけれど、それは言いたくなくて。答えがあると興味を持たなくなってしまうから」


 4月10日には下北沢での公演を終え、松山・仙台・札幌と4月30日まで全国で上演を控えている。

 「演劇は舞台ごとに変化するあいまいなもの。役者の、観客の体調ひとつでも大きく変わります。期間が終わればもう2度と同じ場所で観ることがかなわないですし。魔術のようなもの。観に来た方を魔術にかけたいですね。劇場を出た帰り道、飲み屋で友人と『どう思った?』と。1人で帰宅して眠るとき、『あの言葉は??』と、何かがもやもやと身体に残るように」

 「魔法はふわっとしているけれど、魔術って最近言わない不思議な響き。どろりとしていて、気がついたらかかっている感じがする」

 魔術にかかっていると思うときはとたずねると、「恋」と即答。「かかってしまうと、それが1番真ん中にあって、他が目に入らなくなってしまうから」

はぎわら・まさと。1971年8月21日、茅ケ崎市出身。ドラマ「はいすくーる落書2」(90年)のヒットで脚光を浴びる。主演ドラマに「若者のすべて」(95年)など。映画「学校」(93年)、「マークスの山」(95年)、「CURE」(97年)などで、多数の映画賞を受賞。また韓国ドラマ「冬のソナタ」をはじめ、俳優のペ・ヨンジュンの声を担当するなど幅広く活動している。


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