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かすむ横断歩道 県内9500カ所 死亡事故現場も

社会 神奈川新聞  2016年03月19日 10:47

厚木市内でも散見される、消えかけた横断歩道
厚木市内でも散見される、消えかけた横断歩道

 厚木市下依知で下校途中の女子児童が車にはねられて死亡した事故から1カ月余。事故との直接の関係は不明ながら、地元では現場の横断歩道が消えかかっていた問題がクローズアップされている。同様な横断歩道は近年、県内各地で顕在化。事故を契機に改善策を模索する動きも出てきた。

 事故は2月9日夕、市立小学校近くの市道で発生した。現場は交通量の多い国道129号から住宅地に入る生活道路で、信号機はないが見通しは悪くはない。横断歩道の手前に街区公園があり、女子児童は公園方向から横断歩道を渡っているときに「漫然と運転」(運転者の供述)していた車にはねられた。

 「現場の横断歩道は事故後数日で塗り直された。通学路でもあり、以前から地元では問題視、改善を要望していたので複雑な思いだ」。2月29日の厚木市議会第1回会議の一般質問で石井芳隆市議が取り上げた。

 霜島宏美副市長は「タイヤによる摩耗で不鮮明になった横断歩道は市道交差点だけでも46カ所ある。市道ではあるが、交通規制に関する標示は県警の業務であり、これまでも改善を要望している」と答弁。4月から県厚木土木事務所と協議を始めるという。


財政難で予算減
 県警本部交通規制課によると、県内にある横断歩道約7万3300カ所のうち、不鮮明になっているのは約9500カ所(昨年9月現在)。バブル景気崩壊以降、県財政の悪化で関連予算が削減されて次第に問題化した。

 昨年8月、知事と県央地区の首長との懇談会で大和市の大木哲市長が「交通事故が多く発生しており、横断歩道など消えかけている標示は迅速に補修してほしい」などと直訴する姿も見られた。

 要望の高まりを受けて、県は2016年度当初予算案に関連費用を倍増の約6億円計上した。「今後2年間で集中的に塗り直す方針」(同課)という。
 
新たな要望検討
 厚木市は「横断歩道あり」「スクールゾーン」などの路面表示、視覚効果を高める舗装のカラー化、注意喚起の立て看板など、市道上の交通安全対策を講じている。

 しかし、肝心な横断歩道の維持管理に関与できない実情に市関係者は「地方財政法や道交法など法的な取り決めがある。かりに費用を用意しても行えず、歯がゆい思いはある」と胸の内を明かす。

 ただ、地元市町村が行える場合もある。例えば市道の舗装更新時には原因者復旧の原則で横断歩道は引き直せる。対応の遅れには「縦割り行政の弊害」を指摘する声もあり、特別措置の可否など県警本部に要望することも検討している。


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