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「幸せ」願う似顔絵 卒園児描き続け30年、藤沢の幼稚園園長

話題 神奈川新聞  2016年03月15日 02:00

「子どもの頃、先生にほめられて絵が好きになった。ほめるってその子の将来がかかってるんじゃないかしら」と言う山本園長=富士幼稚園
「子どもの頃、先生にほめられて絵が好きになった。ほめるってその子の将来がかかってるんじゃないかしら」と言う山本園長=富士幼稚園

 巣立つ園児への愛情を絵筆に-。藤沢市本鵠沼1丁目の富士幼稚園の山本富士枝園長(75)が30年以上にわたり、卒園児の似顔絵を描き続けている。その数はゆうに1500人を超え、この春も62人分を描き終えた。一人一人のまなざしと向き合い、「この子の人生が幸せでありますように」と願いを込めた。門出を迎える前の15日、メッセージを添えて園児に贈る。

 正面を真っすぐ見据えた制服姿の園児たち。「かっこよく(かわいく)描くからね」と声を掛け、色紙に鉛筆で下書きし、水彩絵の具で仕上げていく。緊張をほぐしながら、約2時間。入園時からすっかり大きくなった園児の凛々(りり)しい似顔絵が出来上がる。

 近くの幼稚園に似顔絵を描く先生がいたため、挑戦しようと思ったのがきっかけ。園児はちゃんと座っていてくれるだろうか、似せて描けるだろうか、と不安もあった。「やってみると、できたんです。これはいけるぞって」。以来、30年以上続く卒園時恒例の贈り物となった。

 昔から絵は得意。自己流でこなす。特徴をつかむには何より目が重要という。右目から描き始め、全体のバランスを整える。園児を飽きさせないよう話をしたり、お菓子とジュースを振る舞ったりして過ごす。

 幼い目をのぞき込むと、身が引き締まる。「私も見ているけど、この子も私を見ている。純真無垢(むく)な目に対面する人間として自分はふさわしいか、恥ずかしくない生き方をしているか、と考えながら描く」。毎年11月ごろから始め卒園間際まで続く。

 「この年になると一緒に走り回ったりできないけど、好きな絵を描いて喜んでもらえる。至福の時間ですね」。年少園児の保護者たちからは「園長先生、この子の絵も描いてね」とお願いされ、なかなか引くに引けない。「東京オリンピックまでは頑張るわって答えてるんですよ」と笑う。

 卒園式は17日。「とにかく嫌なこと、苦しいことがあっても乗り越えてほしい。この先楽しいことばかりではないでしょうけど、強い心を持って乗り越えてもらいたいですね」。園児への変わらぬ願いだ。


「子どもの頃、先生にほめられて絵が好きになった。ほめるってその子の将来がかかってるんじゃないかしら」と言う山本園長=富士幼稚園
「子どもの頃、先生にほめられて絵が好きになった。ほめるってその子の将来がかかってるんじゃないかしら」と言う山本園長=富士幼稚園

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