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16年度 人口増減も影響
【予算検証】 市町村税収二分化進む

政治行政 神奈川新聞  2016年03月04日 15:08

 神奈川新聞は県内33市町村の2016年度当初予算案の集計結果をまとめた。一般会計のうち、各自治体の基幹財源となる市町村税収入(見込み)が15年度当初比で増収となったのは15市町、前年度並み(増減率0・5%以内)が8市町、減収が10市町村だった。都市部では景気回復基調や人口増を反映して税収が増える半面、人口減に直面する地域では伸び悩むなど、二分化の傾向が県内でも表れている。

 県内33市町村の16年度予算案に、12~15年度予算(当初ベース)の数値を加え、計5カ年度分の傾向も併せて分析した。

 16年度当初の歳入総額は増収の自治体が21、前年度並みが5、減少が7だった。ただ景気動向の影響を大きく受けやすい法人関連などの税収が大きい自治体では、当初予算は堅めに編成する傾向もあり、今後の情勢で収入が好転する可能性もある。

 市町村税収入のうち、個人住民税は増収13、前年度並み6、減収14。人口増加の続く横浜市や川崎市などではここ近年、連続して増収となっている。半面、人口の減っている県西部では減収傾向が強い。

 業績の好調な企業が立地する自治体では16年度、法人関連税収が増えそうだ。横須賀市は法人市民税を前年度から7割増、座間市も5割増と見込む。一方、法人税率引き下げの影響が大きいとして減収を見込んでいる自治体も出ている。

 固定資産税は増収21、前年度並み6、減収6となる。箱根山・大涌谷周辺の火山活動活発化で観光産業に影響が及んだ箱根町では、16年度から同税率を引き上げる。駅前に大型商業施設が開業した海老名市も、同税の収入が7%伸びた。

 16年度の地方債を前年度から増やすのは14市町。19市町村は減額または起債しない。地方交付税を一時的に肩代わりする臨時財政対策債も抑制傾向が強く、近年では起債していない自治体もある。

財政効率化 共通課題



 2016年度当初予算案から見える県内自治体の税収傾向の二分化は、財政力に格差が開きかねないことの予兆とも取れる。財政の効率化に向けた工夫は共通の課題といえそうだ。

 地方創生を掲げる安倍政権のもとで16年度政府予算案は、夏の参院選もにらんで育児世代の家計や地方に配慮した。ただ地方の課題でもあるインフラ整備に関しては、社会資本整備への交付金で費用便益分析の算出が要件とされるなど、国が線引きを図る傾向が出てきている。

 昨年10月の財政制度等審議会でも、国と地方の間で基礎的収支比率(プライマリーバランス)が「著しく不均衡が拡大」と指摘された。地方財政の改善が強調される議論からは「地方への分配縮小を目指したい中央の思惑」(亀井善太郎東京財団ディレクター・研究員)がうかがえよう。

 一方、社会保障費の増大で、自治体の削減しづらいコストがさらに膨らむのは避けられない。人口動態や地元経済情勢の影響のなかでも行政サービスを維持するため、広域連携など多様な取り組みに向けた指導力の発揮が、首長に問われることになる。

県内各自治体が2016年度当初予算案に計上した市町村税収の前年度比増減
▼増加(15)
横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、小田原市、茅ケ崎市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町
▼前年度並み(8)
平塚市、鎌倉市、藤沢市、秦野市、綾瀬市、大磯町、松田町、愛川町
▼減少(10)
逗子市、三浦市、南足柄市、葉山町、寒川町、二宮町、中井町、大井町、山北町、清川村

※2015年度当初予算比。「前年度並み」は同額か、増減率が0.5%以内の場合。


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