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姿消すハマの原風景 復興支えた生糸貿易の象徴・旧帝蚕倉庫 きょうから解体

社会 神奈川新聞  2016年03月01日 02:00

3月1日から解体される旧帝蚕倉庫=横浜市中区
3月1日から解体される旧帝蚕倉庫=横浜市中区

 関東大震災後の1926年に建てられ、横浜の復興と発展を支えた生糸貿易の象徴的な施設である旧帝蚕倉庫(旧横浜生糸検査所付属生糸絹物専用倉庫、横浜市中区)が1日から解体される。倉庫はかつて4棟あったが、1棟のみが残されていた。保存活用を訴えてきた専門家は「港ヨコハマの景観を守ってきた残すべき重要な資産。大変残念でならない」と話している。 

 鉄筋コンクリート造で地上3階地下1階。アール・ヌーボーなどモダンな建築様式を取り入れた横浜ゆかりの建築家・遠藤於菟(おと)(1866~1943年)が設計し、コンクリートの外壁にれんがタイルを貼り付けるデザインが特徴だ。

 事業者は倉庫を全て取り壊した後、同所に建てる超高層ビルの低層部に当時のれんがを使った外壁と、倉庫の外観と内部空間を復元した建物を隣の敷地に設けて歴史空間を形作る予定だ。「復元棟」は文化施設として活用する。

 当初は倉庫1棟を曳屋(ひきや)して保存する計画だったが、東日本大震災で損傷を受けたとして計画を見直した。市も「安全性を考慮したこと」として解体・復元を認めた経緯がある。

 横浜市長の諮問機関「都市美対策審議会」でも保存活用や低層部の歴史的な空間づくりについて議論が重ねられ、事業者に改善を促してきた。最終的に昨年8月、今回の計画を「適合」と判断している。

 一方で、日本建築家協会関東甲信越支部は05、13年の2度にわたり、倉庫の保存活用を求める要望書を事業者や市に提出。解体の具体的な決定を受け、同協会神奈川地域会の飯田善彦代表は「旧三井物産横浜支店倉庫(旧日東倉庫)に引き続き、遠藤於莵が設計した建物の解体は非常にひどい話。先人が残した建物を保存しないと横浜に歴史は残らない」と憤った。

 建築史が専門の吉田鋼市・横浜国大名誉教授は「大変残念だが、柱頭の装飾など現在なくなっているものを再現するなど外観はもとより内部についてもできるだけ忠実な復元を望みたい」と注文を付けた。

 市は14年、同倉庫を市の歴史的建造物に認定。20年に竣工(しゅんこう)予定の「復元棟」は新築でも歴史的建造物に認定するという。


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