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火山観測網拡充へ 箱根山で温地研

社会 神奈川新聞  2016年02月28日 02:00

箱根山など各地の活火山を監視する気象庁の地震火山現業室。温地研の観測データも活用している=東京都千代田区
箱根山など各地の活火山を監視する気象庁の地震火山現業室。温地研の観測データも活用している=東京都千代田区

 箱根山(箱根町)の火山活動の状況や推移を見極める「ホームドクター」としての役割を高めようと、県温泉地学研究所(小田原市入生田)が新年度に観測網をさらに強化する。観測史上初となった昨年6月の噴火で得られた知見を生かして態勢を拡充し、将来的な目標である噴火予測の実現につなげる狙いだ。だが、箱根山で噴火を予測するのは難しいとされ、課題は少なくない。

 箱根山の火山活動の活発度は主に、山体の膨張を示す地殻変動や微小な火山性地震の数から判断される。昨年4月下旬に始まった今回の活動は、これらの現象に大涌谷斜面からの蒸気の激しい噴出が加わったのが大きな特徴で、昨年6月29日にごく小規模な噴火に至った。活動の消長に応じて火山ガスの成分が変化することも分かってきた。

 こうした知見も踏まえ、県は新年度予算案に5800万円を計上。戦後最悪の火山災害となった2014年9月の御嶽山(長野、岐阜県)噴火を教訓に対策を進めた本年度に引き続き、観測網の整備を進める。具体的には、噴出する火山ガスの量や成分の変化を遠隔監視できる装置を新たに配備。各種の地震計や衛星利用測位システム(GPS)を増設する。

 温地研の観測データは気象庁に提供されており、5段階の噴火警戒レベルの運用や火山活動の評価に役立てられている。活動が一段と活発化した昨年5~6月ごろは、地震の回数などをリアルタイムで表示する温地研のウェブサイトにアクセスが集中。閲覧できない状態になるトラブルがたびたび発生したため、サーバーの強化も行う。

 また、今春から新たに火山関係の研究員を採用し、人材不足の解消も図る。

水蒸気噴火 予測難しく


 箱根山の噴火予測はなぜ難しいのか。

 昨年6月に発生し、今後も起きる可能性があるとみられるのは、マグマより浅い地下にたまっている熱水が膨張し、地表付近の岩石などを吹き飛ばす「水蒸気噴火」だ。同じタイプだった御嶽山噴火の後に設置された国の有識者検討会は水蒸気噴火の先行現象について、(1)同じ火山でも同一とは限らない(2)一部の現象のみが観測されて噴火に至る場合がある(3)観測される場所が火口付近など比較的狭い領域に限られる-などと指摘。捉えるためには、火口周辺の観測網の増強が欠かせないとした。

 御嶽山と比べれば、箱根山の火口周辺は地震計などの観測網が整っている。しかし、箱根山で昨年起きたのは「噴火とは呼びたくないほど小規模な噴火」(火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長)。火山灰などの噴出量は100トン程度で、約50万トンだった御嶽山噴火よりはるかに少なかった。

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