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出会い通じ描く未来
川崎中1殺害事件 10代の居場所(6)更正

社会 神奈川新聞  2016年02月19日 14:34

小学生が多世代と交流するイベントなど、青少年の健全育成や非行防止につながる活動を行っているBBS会
小学生が多世代と交流するイベントなど、青少年の健全育成や非行防止につながる活動を行っているBBS会

 「高校生活ってどうなの?」「バイトでお金を稼ぎたい」

 中学3年のシンジ(仮名)は、すぐ先の将来に興味を抱き、繰り返し質問してくるようになった。「どんな仕事でも必要なのはあいさつだぞ」。男性(20)がアルバイトの体験談を話すと、「うぃっす」と楽しげに笑った。

 そんな冗談も交わせる2人だが、出会ったころから距離が近かったわけではない。友人と万引を繰り返し、保護観察処分中のシンジ。家族間のけんかが絶えず、夜遊びが増えていった。保護司からこう伝えられた男性は、「非行少年と接するのは初めてで、最初は少し怖かった」。

 漫画、音楽、ゲーム…。シンジの自宅で勉強を教える合間に、同世代だからこそ分かる話で盛り上がり、次第に打ち解けていった。「勉強もやればできる子。悪い印象はなくなった」

 男性は県内に住む大学2年生。青少年の健全育成や立ち直り支援に取り組むボランティア団体「BBS会」のメンバーだ。

 中学、高校と野球一筋で部活に熱中。教師に憧れて大学に進学し、子どもと関わりたいとBBSの活動を始めた。シンジとは、保護観察中の少年少女の自立を支援する「ともだち活動」を通じて出会った。

 昨年2月、川崎市立中1年の少年=当時(13)=が殺害された事件で、有罪判決を受けた無職少年(19)も保護観察中だった。

 男性は言う。「更生とは何か、正直答えは出ていない」。それでもシンジと接する中で、見えてきたことがある。

 「更生させるのではなく、自分自身が更生しようと思うことが大切」

 目標があれば周囲の環境に流されず、前に進めると信じる。「『この人にできるなら俺もやってみたい』と思える同世代が身近にいれば、目標を持つきっかけになるのかな」

 学校やアルバイトといった日常を伝えることで、具体的な将来像が膨らんでいく。少し年上の「ともだち」が、ロールモデル(手本)になる。

 「そんな人と知り合う機会が、非行少年にはない。BBSを通して出会い、世界が広がった」。かつて非行少年だった男性会社員(25)=厚木市=は振り返る。

 16歳で3回目の少年院を出た後の保護観察中、BBSメンバーで大学4年の男子学生と出会った。「色眼鏡で見ず、ちゃんと叱ってくれる人だった」。一人の友人として、カラオケや食事に連れて行ってくれた。「暴力もなく、金だけの関係でもない、まっとうな人付き合いを見せてくれた」

 家族や学生生活のこともたくさん話した。大学の授業やバイトの内容、親のあり方とは、どんな家庭を持ちたいか-。「明日、誰かから逃げる必要もない、『普通の生活』を

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