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大人の正論「だるい」
川崎中1殺害事件 10代の居場所(3)信頼

社会 神奈川新聞  2016年02月14日 10:37

被害生徒が仲間と遊んでいた大師公園のバスケットボールコート=2月10日、川崎市川崎区
被害生徒が仲間と遊んでいた大師公園のバスケットボールコート=2月10日、川崎市川崎区

 闇に覆われた川崎・大師公園の噴水広場。ショウタ(16)=仮名=は、凍える手をポケットに突っ込んだまま吐き捨てた。

 「5歳も年下の後輩をボコすようなやつ、俺の周りにはいない」

 男子生徒=当時(13)=を殺害した罪で有罪判決を受けた主犯格の少年(19)に向けた言葉は、蔑視の塊だった。中学時代は地味でいじめられ、高校で弱い者に先輩風を吹かせる「高校デビュー」。報復を恐れたとする動機は「くだらない」。

 ショウタはそう言うと、手にしていたタバコをさっと隠し、木陰へと走った。「だりー、おまわり」。パトカーの気配は、光の動きと音で分かる。かつて、地元の警察官に追われるスリルを味わうのが「最高に楽しかった」から。

 中学1年の終わりから、学校に行かなくなった。「面倒くさくて。授業で寝てたら怒られるし」。気が合うのは他校の同級生や先輩たちだった。公園、ゲームセンター、誰かの家…。行けば必ず同じ10代の仲間がいた。そこで被害生徒とも何度か会っていた。

 夜中に自転車で走り回ったネオン街、景品を盗もうとして見つかったゲームセンター、盗んだバイクで警察官から逃げ回った路地。「見たことない世界って感じ」で、刺激的だった。

 他校の上級生とトラブルになり「ボコボコ」にされたこともある。深夜に友達と行ったカラオケボックスで10人から殴られ、財布の金を全部奪われた。

 慕っている先輩はいたが誰にも相談しなかった。迷惑を掛けたくなかったから。「親に言っても恥ずかしいし、『気にするな、相手にするな』って言われるに決まってる」。自分の中だけに閉じ込めてきた。

 大人たちの言葉を受け入れることもできなかった。「自分で分かっていることを注意されてもむかつくだけ」。学校に行け、家に帰れ、と言われても「都合のいい上から目線」に映った。「地域の見回りなんて意味ない。正論ばっかり言う大人は、だるい」

 被害生徒と重なりもする境遇と周囲への思い。ショウタは一息つくと、隣に止めていたバイクに目をやった。毎朝6時に起き、重い荷物を運んで稼いだ金で買った「宝物」だ。

 事件後、頼れる先輩の勧めで作業員として働き始めた。給料は後輩におごる食事代とバイクの改造費であっという間になくなるが、1年前の自分にはなかった感情に気付き始めた。

 「昔バイク盗んだ相手に申し訳ない。働いて稼いだ金で

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