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気兼ねせずSOSを
川崎中1殺害事件 10代の居場所(2)親子

社会 神奈川新聞  2016年02月13日 11:01

息子の願いを受けて遺体発見現場を訪れ、被害生徒の冥福を祈る男性 =2月2日、川崎市川崎区の多摩川河川敷
息子の願いを受けて遺体発見現場を訪れ、被害生徒の冥福を祈る男性 =2月2日、川崎市川崎区の多摩川河川敷

 「自分の代わりに、命日に行ってくれないか」

 離れて暮らしている15歳の息子カズヤ(仮名)から届いた手紙を見て、男性(43)は深く息を吸った。「父親の誕生日さえ覚えないのに。彼のことは気に掛けてるんやろうな」

 カズヤは昨年2月、川崎市の多摩川河川敷で殺害された男子生徒=当時(13)=と同じ中学の1年先輩。あの日も、事件直前まで一緒に遊んでいた。

 「息子もあの場に行っていたら、被害生徒と同じ目に遭っていたか、逆に『おまえもやれ』と言われ、加害者にされていたかも…」

 だからこそ、事件は人ごとではなかった。

 仕事の都合で川崎に越してきたのは4年ほど前。離婚に伴って幼いころから大阪で祖父母と暮らしていた息子も後から呼び寄せた。中学2年の途中だった。

 転校直後に友達ができたか聞いてみると、「すぐできた」と返ってきた。だが、実際に登校したのは3日だけ。「そんな気はしてたけど、先生からも来ていないと言われ、やっぱりなと」。校外で知り合った年上の少年グループと遊ぶようになり、そこで被害生徒とも知り合った。

 島根の離島から移り住んだ母子家庭の男子生徒と大阪から転校してきた父子家庭の息子。男子生徒はバスケットボール部から離れて学校に通わなくなり、息子も転校後に不登校になっていた。似たような境遇の2人。生きるため、朝から夜遅くまで働いている親の状況も重なっていた。

 息子には何度も学校に行くように言った。「家にいれば話すようにしていたけど、本音を言えば、いちいち見ていられない部分もあった」。働きながら1人で子育てする苦労もあり、行方さえはっきりさせて生きていてくれればと、思うようにもなっていた。

 そんな矢先、事件は起きた。

 「被害生徒は親に心配させたくなくて、自分で解決しようと思ったのかもしれない。その分、周りが気付いてあげられていたら」。

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