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「次は俺」恐怖に震え
川崎中1殺害事件 10代の居場所(1)仲間

社会 神奈川新聞  2016年02月12日 11:45

男子生徒の遺体が見つかった多摩川河川敷=2月10日、川崎市川崎区
男子生徒の遺体が見つかった多摩川河川敷=2月10日、川崎市川崎区

 「あの自転車、俺が貸したやつや」

 テレビ画面に映し出される事件現場付近の防犯カメラ映像を見て、カズヤ(15)=仮名=がつぶやいた。川崎で中学生とみられる少年が殺害されたことを伝えるニュース。息子の仲間が殺されたと聞かされた父親(43)が、当時の状況を語った。

 昨年2月19日夜。カズヤと一緒に遊んでいた男子生徒=当時(13)=が誘ってきた。別のグループと合流しないかと。「俺は行かれへん」と断ると、「(集合場所に行く)足がない」と言いだした。「じゃあ、チャリ貸したるわ」。そんな会話が、交わした最後のやりとりになった。

 数時間後、男子生徒は多摩川河川敷で無職の少年(19)らに命を絶たれた。首にはカッターナイフで切られた多数の傷。全裸で真冬の川を泳がされ、放置された。

 連日のニュースで次々と明らかになる事件の全容。周囲からは犯人視され、すぐに警察からも連絡がきた。だが、事件直前まで遊んでいた友を失ったショックよりも、カズヤを支配したのは「恐怖」だった。

 「次は、俺や」

 被害生徒に手を掛けたのは、自分も面識がある「あいつら」だと分かっていた。事件の主犯格とされた無職少年からは、財布をもらったこともあった。ただ、いつも遊んでいたのは別の仲間たち。事件の1カ月ほど前、被害生徒を暴行した無職少年に「抗議」したグループの方だった。

 その現場には居合わせなかったが、自分も被害生徒と同じ「年下の弱い立場」。友の命を奪った刃(やいば)が、今度はこちらに向く気がしてならなかった。

 「(無職少年は)普段は優しい人やねんけど、酒が入るとちょっと変。人を殺したい、とか言う」。先輩からは、過去にいじめられていたイライラから「弱いやつをやる」とも聞かされていた。

 携帯電話の電源を切り、友人からの連絡を絶った。部屋の明かりを消し、インターホンの電池も外した。一歩も外に出られず、震えが止まらなかった。無職少年たちが逮捕されて少しは安心したが、恐怖感は拭えなかった。

 自分の手が届くところであっさりと口を開けた殺人。その現実が、恐ろしかった。自分も先輩から「しばかれた」ことがあった。普段は遊びを教えてくれる優しい仲間も、些細(ささい)なきっかけで凶行へと暴走しかねないと思えてきた。怖かった。でも、今の自分にとっての世界はここだけだった。

 中学2年の途中で大阪から越してきた。登校したのは3日くらい。向こうでもこっちでも、学校の外の方が面白かった。同じような仲間は自然と集まった。その中に、被害生徒もいた。自分を慕ってくれる初めての後輩だった。

 事件の後、外出できるようになったのは夏ごろ。お盆休みに大阪に帰省した。数週間の約束だったが、父を説得して滞在を延ばしてもらった。気心がしれた仲間とはしゃぐのは楽しかった。でも、

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