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【判決要旨】「犯行の主導者として最も重い責任」 懲役9年以上13年以下判決 川崎中1殺害

社会 神奈川新聞  2016年02月10日 17:28

 川崎市川崎区の多摩川河川敷で昨年2月、市立中学1年の男子生徒=当時(13)=が殺害された事件で、殺人と傷害の罪に問われた無職少年(19)の裁判員裁判の判決が10日、横浜地裁であった。近藤宏子裁判長は「殺意が弱かったと評価することはできず、悪質性は減じられない。共犯者らに指示して暴行を行わせ、自ら致命傷となる切り付けを行っており、犯行の主導者として最も重い責任があることは明らか」と指摘した。一方で、「自己中心的な発想は、被告人の共感性の欠如、問題解決能力の脆弱(ぜいじゃく)さ、暴力容認の価値観に根ざした年齢不相応な未熟さの表れで、原因は父母による生育環境が相当に大きな影響を与えている。この点は責任非難を減少させる事情である」として懲役9年以上13年以下の不定期刑を言い渡した。

 判決要旨は次の通り。

 主文:被告人を懲役9年以上13年以下(求刑・懲役10年以上15年以下)に処する。未決勾留日数中180日をその刑に算入する。

事実認定


 第1(日吉事件) 被告は2015年1月17日午前2時ごろから午前2時30分ごろまでの間、横浜市港北区日吉本町の駐車場内で、前月に知り合ってゲームなどをして遊ぶ仲であった被害者がなれなれしい態度をとることなどに腹を立て、被害者の顔面を拳で複数回殴るなどの暴行を加え、全治約2週間を要する左眼窩(がんか)部打撲に伴う皮下出血の傷害を負わせた。
 
 第2(川崎事件) 被告は2月12日ごろ、中学生のころからトラブルがあって恐れていた地元の少年グループ数人が、被告が行っていたさい銭盗の件や日吉事件にかこつけて被告宅へ押し掛け、執ように面会を求めるなどしたため、同グループから接触されることに恐怖心といら立ちを抱くようになった。これは被害者がさい銭盗の件や日吉事件のことを告げ口したことが原因であると邪推し、被害者に対する怒りを募らせていた。

 被告は19日夜、B及びCと、Cの自宅などで飲酒するなどして遊んでいた際、たまたま、被害者がBに対して一緒に遊びたいと何度も連絡をとってきたことを知り、被害者と会って告げ口の件を問い詰めた上で制裁を加えようなどと考えた。

 20日午前1時ごろ、Bと会っていた被害者のところへCと共に出向いて合流し、午前1時19分ごろ、川崎市川崎区港町の多摩川河川敷で、被害者を押し倒して馬乗りになった上、Cから差し出されたカッターナイフを受け取り、Cと傷害の限度で共謀の上、被害者の左頰を数回切り付けた。

 傷の様子などから、このまま被害者を帰すと前記少年グループから報復されたり警察に逮捕されたりすると思い、殺害するほかないなどと考え、カッターナイフで足や腕を切り付けた上で、殺意をもって首を複数回切り付けた。さらにCにも切り付けるよう依頼し、これを受けたCがその首を複数回切り付けるなどした。

 午前1時55分過ぎごろ、離れていたBを呼び寄せて被害者を切り付けるよう指示し、承諾したBと傷害の限度で共謀の上、午前2時34分ごろまでの間、それぞれ被害者の首をカッターナイフで多数回切り付け、Cが被害者の顔面を数回コンクリートに打ち付けるなどした上、被告が被害者の左首を強く切り付けるなどの暴行を加えた。よって午前6時12分ごろまでの間に、被害者を出血性ショックにより死亡させて殺害した。

量刑の理由

1、犯行態様

 まず、量刑の中心となる川崎事件の犯行についてみる。
犯行態様は、13歳の被害者に対し、年長者3人がかりで、1時間あまりにわたり、代わる代わるカッターナイフで頸部(けいぶ)を切り付け、首回りだけで31カ所、全身に合計43カ所もの切り傷を負わせたほか、コンクリートに顔面を打ち付けるなどしたというものである。

 この間、被害者は全く抵抗することなく、被告人らに命じられるまま真冬の川で2回も泳がされ、岸に戻らされては頸部(けいぶ)などをまた切り付けられることが繰り返された。その後、致命傷となる傷を頸部(けいぶ)に負わされ、下半身を川に浸(つ)けるようにして放置されても、なお自力で移動しながら絶命した様は凄惨(せいさん)というほかはなく、手口の残虐性は際立っている。

 致命傷を除き、一つ一つの暴行が強力なものはなかったために長時間にわたる暴行が続けられたという側面はあるが、被告人は殺意が生じて以降一貫して被害者を殺害するほかないと考え、その生命を奪うまで共犯者を巻き込みながら攻撃し続けたのであるから、弁護側が主張する「殺意が弱かった」とか「殺害を逡巡(しゅんじゅん)していた」などと評価することはできず、悪質性は減じられない。

 本件によって、被害者の尊い生命が奪われたという結果が極めて重大であるということはいうまでもなく、絶命するまでの間に被害者が味わわされた恐怖や苦痛は甚大であり、その無念さは察するに余りある。被害者を失った遺族が、公判廷において、その筆舌に尽くしがたい悲嘆と苦悩を吐露するとともに、被告人に対して峻烈(しゅんれつ)な処罰感情を示しているのは誠に当然である。

 犯行直後には、被告人の発案で被害者の衣服を燃やし、共犯者間で口裏合わせをするなどの証拠隠滅を謀っている点も悪質である。

2、役割・地位

 共犯者間における役割および地位についてみると、

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