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夢の続きはベトナムで 新田ジム出身の尾島さんボクシングジム開設 チャンピオン育成に奮闘

社会 神奈川新聞  2016年02月10日 02:00

ベトナムの全国大会で金メダルを取ったハイ選手と写真に納まる尾島会長(右) =ベトナム・ホーチミン
ベトナムの全国大会で金メダルを取ったハイ選手と写真に納まる尾島会長(右) =ベトナム・ホーチミン

 川崎新田ボクシングジム(川崎市多摩区)出身のトレーナーがベトナムで初となる日系ボクシングジムの会長として奮闘している。尾島祥吾さん(28)はボクシング未開の地での普及と、未来のチャンピオン育成を夢見ている。

 その名も、サムライボクシングジム。「日本人が教えているということが一言で分かるように、この名前にしました」。昨年、ベトナム最大の都市・ホーチミンの中心部にオープンし、1年近くが経過した。

 発展めざましいベトナムでは近年、スポーツジムの開設が相次いでいるという。「でもボクシングジムはないし、リングを備えたところは皆無」。そこにビジネスチャンスをみた。現在の会員は約120人。仕事などで赴任中の日本人が6割を占める。日本のジムと同様、健康やダイエットのために通う人が多い。

 夢はそれだけではない。「ベトナムにはプロ組織すらなく、ボクシングはまだまだマイナー競技」。だからこそ広がる可能性もある。「身体能力が高く、才能にあふれた原石が転がっている」。貧しくてジムに通えない子は「特待生」として育てている。

 近隣のタイ、フィリピンしかり。貧困というハングリーさを拳に握り、世界王者へのし上がった例は数え切れない。「ベトナムのボクシングは世界から10年遅れている。でも教えると、すぐにできる子がいる。必ず世界レベルの選手が出てくる」。実際、昨年の開設後に教えた青年は、すぐに国内大会で優勝した。思いは確信に近い。

 岡山県出身。大学進学で上京し、川崎新田ジムでボクシングに出合った。在学中にプロとなり、2011年には全日本バンタム級新人王となった。ハードパンチャーのサウスポーとして有望視されたが、連戦で痛めた拳が治らず、志半ばで引退した。追い切れなかった夢を、未開の地のリングに託している。

 今後は普及を狙って日本のプロ選手を招待してのベトナムでの興行や、現地選手の日本でのプロデビューなどをもくろんでいる。「将来はベトナムのスーパースターをつくりたい」。現役時代の武器は、左フック。弧を描く軌道が少し遠回りになっても、きっと未来を打ち抜いてみせる。


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