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【動画】冷厳とした「学びのとりで」 関東学院中旧本館

カルチャー 神奈川新聞  2016年02月09日 18:16

突き出た塔屋が特徴の関東学院中学旧本館。再建の際は階段の手すりや礼拝堂の椅子など内装の一部再利用も検討中=横浜市南区
突き出た塔屋が特徴の関東学院中学旧本館。再建の際は階段の手すりや礼拝堂の椅子など内装の一部再利用も検討中=横浜市南区

横浜市南区三春台の丘の上に、古城を思わせる建物がそびえている。米国出身の建築家J・H・モーガン(1868~1937年)が設計し、1929年に完成した関東学院中学校旧本館だ。コンクリートや鉄骨の劣化が判明し、まもなく取り壊される。アーチや十字形の意匠を随所にあしらった中世風の様式が、冷厳とした「学びのとりで」を体現していた。 

 「教室ってこんなに小さかったっけ?」「中庭で憧れの先輩が部活の練習をしているのが見えたよね」。1月23、24の両日行われた校舎の「お別れ会」には20代も80代の大先輩も訪れ、歳月を短絡させていた。

 旧本館は鉄筋コンクリート造3階建て、地下1階で教室や教員室、礼拝堂などがあり2009年まで使われた。正面右側の突出した塔屋が特徴で、銃眼を模した飾りも。そんな物々しさには意味がある。ここは戦前、大学相当の教育を実践する数少ない高等教育機関だった。

 「単に実学だけでなく、倫理的な素養が不可欠だと考えられていたのでしょう」。建築史が専門の吉田鋼市横浜国大名誉教授は、校舎が醸し出す荘厳さを読み解く。このような中世的な様式は、学校建築に多く取り入れられてきた。効率一辺倒の世界から一線を画し、歴史に学び倫理を追究する場だからだ。

 穏やかな曲線を描く弓形アーチの玄関。その形に合わせしつらえられた扉には、円環と十字形を組み合わせたケルト十字…。建物に入る前に襟を正させる。屋内の白眉は、半円アーチが連なる廊下だ。

 記念撮影をしていたグループがいた。2000年入学のOG同士だという。「いろんな先生の顔が浮かんだ」と話した須﨑めぐみさん。「当時は意識しなかったけれど、今思えばいい校舎だったんですね」と八木薫子さんが言うと、板津有紀さんもうなずく。自身も含め、家族3世代がこの校舎で学んだ間宮茉莉華さんは「子どももこの校舎で学ばせたかったな」。


半円アーチが連続する荘重な廊下
半円アーチが連続する荘重な廊下

中学時代の仲間が“同窓会”で校舎にお別れ
中学時代の仲間が“同窓会”で校舎にお別れ

塔屋部分の礼拝堂に柔らかな光が差し込む
塔屋部分の礼拝堂に柔らかな光が差し込む

コンクリートの梁が渡された天井の高い教室
コンクリートの梁が渡された天井の高い教室

1階玄関ホールには校章をかたどった風雅な天井灯が
1階玄関ホールには校章をかたどった風雅な天井灯が

曲線を描く階段には意匠を凝らした手すりが沿う
曲線を描く階段には意匠を凝らした手すりが沿う

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