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ツクイ・津久井宏社長
トップに聞く 人材投資で組織活性

経済 神奈川新聞  2016年02月09日 09:46

ツクイ・津久井宏社長
ツクイ・津久井宏社長

 高齢化の進展でますます需要が高まる介護業界。人手不足が深刻といわれる一方、異業種からの参入が相次ぎ、優秀な人材の確保が課題となっている。通所介護を中心に介護サービスを全国展開するツクイ(横浜市港南区)は、2015年秋に示した中期経営計画の柱の一つに人材への投資を掲げる。同社の津久井宏社長に聞いた。

 -介護サービス事業者に支払われる介護報酬が引き下げられた一方、一定所得以上の人の自己負担額が2割へ引き上げられた。
 「先々のサービス需要や人員配置を見据えて事業展開の方向性を定めてきた。介護保険制度が導入されて15年が経過した。今回の制度改正の準備は前年度下期から進めており、順応速度が上がった」

 「中計にも在宅介護事業報酬単価や自己負担額のプラスマイナス分を1年目から織り込んでおり、売り上げへの影響は限定的だった。主力の通所介護の顧客数は前年同期比10%近い伸びで、今後も稼働率をさらに上乗せしたい。近年は認知症ケアに対するニーズも高く、予防運動プログラム『コグニサイズ』を日々のメニューに採用した。さらに、例えば新しいメニューを異業種と共同開発するなど、集客に向けた差別化を図りたい」

 -国は「介護離職ゼロ」を提唱するが、現場の実情は。

 「(国民の労働力を総動員し)国を真剣に守るんだ、という政府のメッセージが明確に示された。育児や介護、男女の働き方にかかわる対策がチグハグに動いていた部分が今回、1億総活躍という考え方を通して方向性を打ち出したと感じている。わが社でも従業員の平均年齢は45歳前後で他人事ではない。実際、女性役員の一人も介護を理由に退職した」

 「かつて在宅療養の必要な高齢者の受け皿は病院への社会的入院だったが、現在は介護施設が担っている。特別養護老人ホームの追加整備については絶対的な切り札ではなく、待機者すべてが有料老人ホームに入所できない現状に国も対策を講じざるを得なかったのが実情ではないか」

 -中期経営計画の柱の一つに人材投資を掲げた。

 「この仕事が好きな人はいい仕事をする。そこに共通目標を持つことが介護チームを活性化させ、職責を果たすことにつながる。資格取得と実務経験の積み重ねに加え、当事者や家族にどこまで寄り添えるか。家族との接点も入居系と在宅系では全く質が異なるが、従業員個人の成長が組織の成長に寄与するという考えがベースにある。対外的には看取り数の実績や、家族や地域から受ける評価など、具体的指標を示したい。安定的な経営数字というのもその一つ」

 「教育研修経費を増やし続けている。年末に訪問介護スタッフの調理実習を行った。1月下旬には初のテーマ別事例発表会を開き、経験と感動を共有する場を設けた」

 -今後の介護業界をどう展望するか。業界動向に応じた取り組みは。

 「超高齢社会を迎え(利益を出せる事業者と出せない事業者との)二極化が進む可能性がある。特養、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなど顧客の選択肢が広がっており、こうした事業環境をどう追い風にできるか。選ばれる事業者になるために自社サービスの強みを示したい」

 「同業他社の不祥事が明るみになったが、(このことで)従業員に対する再教育や、虐待予防の重要性を業界全体で再認識できたと捉えたい。中計達成と風通しの良い組織づくりへ向けた組織改編を今春予定している」

 つくい・ひろし 1989年、社会福祉法人ひまわり福祉会入職。同会退職後92年、ツクイ入社。福祉事業部営業部長、取締役副社長管理推進本部長などを経て、2012年6月から現職。横浜市港南区出身、50歳。


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