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JA横浜 黒沼利三代表理事組合長
展望2017(7)三位一体で健全な経営

経済 神奈川新聞  2017年01月17日 11:22

JA横浜黒沼利三氏
JA横浜黒沼利三氏

 改正農協法の施行や農業改革、TPP(環太平洋連携協定)の国会承認など、試練の続く農業界。トランプ米次期大統領がTPP離脱を宣言し、新たな局面を迎える中、足元の都市農業をいかに成長させるか。大消費地を抱えるJA横浜の黒沼利三代表理事組合長に聞いた。

 -2016年の総括は。諸要因に左右されない経営基盤づくりに何が必要か。

 「当JAでも自己改革を推進した。改正農協法については准組合員の利用規制や信用事業の代理店化などが導入された場合を想定して検討を重ねている」

 「マイナス金利で金融事業の収益が目減りしている。都市部の農協は本業の農業関連収益の割合が小さく将来的に心配だ。農あっての農協、組織あっての協同組合、これらを支える経営の三位一体が成り立ってこそ健全な姿だ」

 -米大統領選でトランプ氏が当選し、TPPの議論は転換点を迎えた。

 「同氏の経済施策は不透明で注視が必要だ。就任初日にTPP離脱を正式表明するというが、そもそもTPPを批准したのは日本以外ではニュージーランドのみ。しかも(同国の推進派だった)キー首相は退陣した」

 「議論が日米2国間協議になってもTPPと同等、あるいはそれ以上の要求を突き付けられる可能性が高い。農畜産物の価格が下落し、農家の経営が悪化した場合、『JAが農業所得の向上に取り組まなかったからだ』という責任すり替え論の浮上も懸念される」

 -自己改革の手応えは。

 「営農指導を担当する営農インストラクターは、高度な技術や指導力を備えた人材の育成が目下の課題だ」

 「横浜農業強化に向けた独自の積立金(2億円)を設け、資材の廉価供給や農業用施設・機械の購入助成に活用している。組合員に好評な廉価供給向けの活用額は当初の倍の4千万円に増やした」

 「営農技術を持つ種苗会社出身者が直営店舗で相談業務を担い、家庭菜園を楽しむ一般客らに利用いただいている。当JA職員は野菜の販路拡大にも努め量販店や業務用スーパーなど新規取引先を開拓した」

 -6次産業化の推進や遊休地の解消に向け、タマネギや大豆などを栽培した。

 「遊休化の恐れのある農地の維持と、どのように後継者を補うかが将来への課題。農地管理の部分で実証できたが、運営方法については今後の検討課題。さまざまな用途を想定しながら17年度のモデル事業を具体化する」

 -今年の抱負を。

 「都市農業の発信拠点である直売所を核に新鮮で安全安心な農畜産物を供給し、消費者から愛されるJAを目指す。金融事業や販売事業を含め、あらゆる面で質の向上に努めたい」

くろぬま・としみつ 1947年生まれ。専修大卒。71年JA横浜北(当時)入職。常務理事、代表理事副組合長を経て2016年6月から現職。横浜市青葉区出身。69歳。


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