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東海地震予知「継続」7割 県内市町村・新たな前兆情報期待

社会 神奈川新聞  2017年01月17日 09:54

 国が正確に行うのは困難とみて大幅な見直しを検討している東海地震の予知について、県内33市町村の7割超が仕組みを一部変えた上での継続を望んでいることが、神奈川新聞社の調査で分かった。確度などに難のある情報であっても、事前に得て被害の軽減に役立てたいという自治体の意向が示された形。ただ、首相の「警戒宣言」を受けて交通規制や避難対策などを実行する現行制度のマイナス面を指摘する声は多く、予知の根拠法である1978年制定の大規模地震対策特別措置法(大震法)の見直しは必要との見方が大勢を占めている。

 約40年前に提唱された学説に基づき、静岡・駿河湾で切迫しているとされてきた東海地震は日本で唯一、直前予知が可能な地震と位置付けられ、大震法に基づき気象庁が24時間体制で観測している。だが、起きることがないまま阪神大震災や東日本大震災が発生。研究者から学説の問題点に対する指摘が相次ぎ、「正確な地震予知は極めて困難」との認識が主流になった。

 このため政府・中央防災会議の作業部会は昨秋、予知体制の抜本的な見直しを念頭に議論を開始。地震に至る手前のゆっくりとした地殻変動を検知し、東海地震の恐れがあるとして警戒宣言を発表する枠組みの存廃はまだ決まっていないものの、別の手法で地震の可能性を判断し、新たな前兆情報の提供や何らかの注意喚起を行う案が有力となっている。

 調査では、こうした検討状況を踏まえ、今後の予知関連の情報体系の望ましい姿について尋ねた。

 その結果、藤沢、小田原、大和、寒川、山北、湯河原など25市町村が「現行の枠組みを維持するとともに新たな情報の提供を望む」などと回答。「新たな情報があれば警戒宣言の発表前の段階から体制を整えられる」(三浦市)、「空振りもあるかもしれないが、被害の軽減につながる情報や対策は必要」(海老名市)などと理由を挙げている。

 現行の枠組みだけの維持を求める市町村は一つもなく、平塚、茅ケ崎、厚木、大井、愛川の5市町は新たな情報のみを期待。厚木市は「現在の科学技術で予見可能な範囲で新たな仕組みを構築してほしい」とし、大井町は「予知の実現性が怪しいのであれば、今後も続けるのはおかしい」と指摘している。県内では、東海地震が発生した場合に揺れや津波の影響が大きい西側の19市町が対策強化地域に指定されているが、この5市町のうち愛川町を除く4市町は強化地域に入っている。

 一方、川崎市は「情報はいずれも不要」との立場。「現在の地震学の水準では正確な予知は困難。事前の避難や経済活動の停止、根拠のない臆測や流言による社会不安などの悪影響が大きい」とみる。警戒宣言が規制に直結する現在の枠組みには他の自治体からも疑問の声が出ており、「外れた場合、別の災害時に発表される情報への信頼が損なわれる懸念がある」(葉山町)、「宣言が長期化した場合の対応が不安」(大磯町)などとしている。

 横浜市は「市として定まった見解がない」として回答せず、相模原市は「該当なし」とした上で「特に影響のある強化地域内の住民にとって適切な結論を出してほしい」との見解を示すにとどめた。

 ◆東海地震の予知 想定震源域の静岡・駿河湾などで地震の前兆現象がみられた場合、切迫性や異常の程度に応じて、予知、注意、調査(臨時)の3段階の各情報を気象庁が発表する。予知情報の段階で首相が警戒宣言を出すが、運用されたケースはない。強い揺れや津波が予想される静岡や神奈川、愛知、山梨など8都県の計157市町村(2012年4月現在)が防災対策強化地域に指定されており、危険地域からの住民の事前避難や学校の休校、道路規制、鉄道の運行中止などの措置が講じられる。前兆現象かどうかの判断は、気象庁に設置されている地震学者ら6人による判定会が行う。予知が行われれば、最悪の場合に見込まれる死者9200人は2300人に減ると国は想定している。

■今後の地震予知関連の情報提供に対する県内市町村の意向

予知のみ継続 0
予知の継続と新たな情報 25市町村(横須賀、鎌倉、藤沢、小田原、逗子、三浦、秦野、大和、伊勢原海老名、座間、南足柄、綾瀬、葉山、寒川大磯二宮中井松田山北開成箱根真鶴湯河原、清川)
新たな情報のみ 5市町(平塚、茅ケ崎、厚木、大井、愛川)
いずれも不要 1市(川崎)
未回答、該当なし 2市(横浜、相模原)

※太字は東海地震の防災対策強化地域に指定されている自治体(8市11町)


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