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42万都市の未来 16年藤沢市長選(4)文化振興

政治行政 神奈川新聞  2016年01月22日 14:49

昨秋オープンした藤沢市アートスペースで制作に励む若手芸術家
昨秋オープンした藤沢市アートスペースで制作に励む若手芸術家

 JR辻堂駅北口の湘南C-X内にあるビル・ココテラス湘南で昨秋、新たなタイプの美術施設がオープンした。藤沢市が「アートスペース」と命名した施設は、所蔵コレクションの展示を核に運営する従来の美術館とは一線を画す。市内にも大勢いる若手芸術家のための活動拠点だ。

 地元の芸術家に創作と発表の場を提供し、企画展や体験型イベントを連携して展開。制作室となるレジデンスルームは来場者の見学も可能で、芸術家と市民の交流の場として機能させていくことを期待した。

 見込む効果は、藤沢発の芸術家の育成と市内の文化振興、そして芸術作品を媒介にしたまちづくり-など。開館特別展に出展した男性画家は笑顔で語った。「公共美術館は敷居が高いが、ここは使いやすい」

 文化政策について市はこれまで、分野ごとに拠点エリアを設定。市民オペラの発祥地で藤沢市民会館のある藤沢駅周辺は「音楽」、市民シアター(湘南台文化センター)を備える湘南台駅周辺は「舞台芸術」といった具合に位置付け、振興を図る構想を描く。

 辻堂駅周辺の「美術」はこれに加わる第3の拠点で、アートセンターの開設はその第1弾だ。7月には同じココテラス7階に、市所蔵の浮世絵などを展示する「藤澤浮世絵館」も開設する予定で、改装工事が着々と進む。

 ただ、アートスペースと浮世絵館の整備は、着想段階から異論が多かったことも否めない。それは、ココテラスの空室問題とも密接に絡む。

 市開発経営公社が建設したココテラスは、大半のフロアが入居者未定のまま2013年3月末に完成を迎えた。当初計画になかった両施設は、空室を穴埋めするような形で開設が決まった経緯があった。

 辻堂駅から東に約3キロ、かつて東海道藤沢宿として栄えた地域もまた、市が近年活性化に力を入れるエリアだ。今春には「ふじさわ宿交流館」が開館。「歴史」をキーワードに観光誘客や郷土学習を図る目玉施設で、周辺では宿場町の景観を復活させる取り組みも並行して進められている。

 藤沢宿エリアの振興もまた、辻堂の美術拠点化構想に一石を投じる一因になった。江戸時代の一級絵師による浮世絵の魅力を伝えるのは藤沢宿こそふさわしいのでは、との疑問が一部の市民の間に根強く残る。

 こうした意見に、市生涯学習部は「文化はまちに魅力を加える大きなファクター。新たに誕生したC-Xというまちに、新たな文化施設をつくるメリットもある」と説明。その上で「当然、浮世絵館と交流館の連携は必須。回遊性を高めて相乗効果を生み出す努力をしていく。ここ数年が勝負、つくって終わりとは考えていない」とする。

 独自性と融合-。市内に分散させた四つの文化拠点を有効に機能させられるかどうか、今後その手腕が試される。


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