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日本の将来、考え抜く 新成人の決意

社会 神奈川新聞  2016年01月12日 02:00

記念式典会場前で旧交を温め、写真撮影を楽しむ新成人たち=横浜市港北区
記念式典会場前で旧交を温め、写真撮影を楽しむ新成人たち=横浜市港北区

 「成人の日」の11日、全国各地で成人式が開催された。

 横浜市では、全国最大規模の「『成人の日』を祝うつどい」が午前、午後の2部に分かれて開催。2万3246人が横浜アリーナ(同市港北区)に集まり、振り袖姿の女性と、スーツ・はかま姿の男性でにぎわった。式典の最中に、数人の新成人が制止を振り切って壇上に上がるなどし、一時中断する場面もあった。

 県によると、県内の新成人は8万7211人(男4万5496人、女4万1715人)で前年から2503人減少した。総務省によると、今年1月1日時点で20歳の新成人は全国で男性62万人、女性59万人の計約121万人。

投票に強い決意

 「参院選では、政治状況や政党の政策をしっかり理解した上で、一票を投じたい」「シールズの運動が出てくる理由や背景をしっかり考えた方がいい」。県内の成人式では、不安に満ちた日本の将来に対し、戸惑いながらも自ら考え抜き、政治に目を向けようという新成人の決意が聞かれた。

 「せっかく貴重な選挙権をもらったわけだから、吟味した上で一票を投じたい」と語るのは川崎市川崎区の大学2年、一瀬樹さん(20)。「ネットやメディアの情報だけでなく、自分の目で知りたい」と、国会前に足を運んだこともある。同世代のシールズについても「シールズの側、そうでない立場の側と、それぞれの立ち位置から見えるものがあり、いろいろな視点で考えることが大事だと思う」と指摘。参院選に向けて政治への理解を深めたいと語る。

 横須賀市の大学2年、尾辻紗瑛さん(20)も「世界の情勢は知らぬ間にどんどん変わり、気付いたら取り返しのつかないことになってしまう。『たかが一票』と言わず、事前に学習し、自分で考えて投票したい」。伊勢原市の大学2年、水澤海希さん(20)は「初めての選挙で絶対に投票したい。就職に向け、ブラック企業をなくす活動をしている候補者を選びたい」と強い意欲を語る。

 年金問題が心配という大和市の大学2年、横瀬琢朗さん(20)も「消費税が上がった割に福利厚生が変わっていない」と指摘した。

 自らの視点を大事にしたいという思いから、シールズについては冷静な評価が相次いだ。秦野市の大学2年、加藤那奈さん(20)は「主張の是非はともかく、行動力があり、うまく発信している」と評価する一方、「過激な部分は賛同できない」とした。横須賀市の大学2年、戸川藍斗さん(20)は「一辺倒の主張で、あまり深く掘り下げられていないのでは」、藤沢市の大学2年、村山亮太朗さん(19)は「解決策を提示しているように見えない。共感はできない」と辛口の分析もあった。

「自分の思い、また声に」 シールズ・伊勢桃李さん


 「こっちが壁をつくっていたのかもしれないなあって」。色とりどりの振り袖やスーツをまとった新成人の波にのまれそうになりながら、伊勢桃李さん(19)は漏らした。

 安全保障関連法に反対の声を上げてきた学生団体「SEALDs」(シールズ)メンバーの一人。同団体は発信力の高さからデモなどで賛同を広げ、中心メンバーが参院の中央公聴会で意見陳述するなど注目を集めてきた。

 が、安保関連法は成立。挫折感を経て心に浮かんできたのは内省の思いだった。「心のどこかで、なんでもっと関心を持ってくれないんだっていう被害者意識のようなものがあった。それは間違いだった」

 今夏には改憲への分水嶺(れい)とされる参院選が控える。団体として共感を広めるため、より視野を広げた活動のあり方が問われている。

 「関心の主体が政治かファッションか恋愛かで異なっているだけであって、それぞれの日常は大切で無視できない。否定し合わずにつながっていくこと、異なる意見とも諦めないで対話を試みていくことだ」

 式典は高校生まで過ごした横浜市の級友らと再会し出席。「引かれそうで怖い」と活動を伝えていなかった友人にも「ツイッターで見てたよ」と聞かされた。

 安保法制は成立しても、あらがうすべと機会はまだまだあると信じたい。「シールズは若者の代表のように言われるけどそうじゃない。皆も私もただの個。無理せず時々休んで、勉強もして力を蓄えて。誰の思いでもなく、自分の思いをまた声にしていきたい」。この春には休学していた美大に復学する。


今夏の参院選に向け、「政治に対する自身の思いを声にしていきたい」と語る伊勢さん=横浜市港北区
今夏の参院選に向け、「政治に対する自身の思いを声にしていきたい」と語る伊勢さん=横浜市港北区

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