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若きハンターの決意「自然守るのかっこいい」

社会 神奈川新聞  2016年01月11日 10:51

昨年11月に狩猟デビューをした二ノ宮さん=相模原市緑区
昨年11月に狩猟デビューをした二ノ宮さん=相模原市緑区

 近年深刻化する野生鳥獣による農業被害対策などで、管理捕獲を担う狩猟者の高齢化や減少が懸念される中、昨年11月に狩猟デビューをした若きハンターがいる。相模原市中央区に住む二ノ宮康介さん(20)。県猟友会の最年少は同年代の新成人に「狩猟は若い人が少なく、認知度も低い。お金も手間も掛かるけれど、こういう形で自然を守るのもかっこいい、と知ってほしい」と呼び掛ける。

 二ノ宮さんは、東京環境工科専門学校(東京都墨田区)の野生動物保護管理コース2年生。狩猟免許を取得するきっかけは、獣害について取り上げられた専門学校の授業だった。被害状況を知り、自身の住む神奈川県の対策を聞いた。

 県によると、県内のイノシシやシカなどの野生鳥獣による農作物の被害総額は、ここ10年ほど1~2億円で推移し、高止まりしている現状にある。増える野生鳥獣に山中の食物供給が追いつかず、人里まで下りて来るのだ。水源林の涵養(かんよう)力にも影響を及ぼすため、県は県猟友会に委託して管理捕獲を行っている。

 卒業後の進路を考えたとき、「人と自然を共存させたい」という思いがあった二ノ宮さん。たどり着いた答えの一つが、県が行っているような管理捕獲による個体数調整だった。

 狩猟自体がしたいわけではない。専門学校の実習でニワトリをさばいたときには、命を奪う重さに手が震えた。

 ただ、野生動物が人里に下りれば人間に被害が及び、個体数が増えれば結果的に野生動物の生息地も減る。授業で「自然と人間が両立するために銃を取る」という現場の声を聞き、「1頭のシカを殺すことで、大勢のシカを守れれば」という苦渋の結論に導かれた。

 19歳のときから狩猟免許の初心者講習会に参加。受験可能になる20歳の誕生日を昨年2月に迎えたときは、「いよいよ免許が取れる」と胸が高鳴った。すぐに猟銃・空気銃所持許可、第1種銃猟免許を取得。県猟友会津久井支部に所属し、同年11月に相模原市緑区の鳥屋猟区で狩猟デビューをした。

 実弾を撃つことはなかったが、猟犬の鳴き声と銃声が響く中、「やっぱり緊張した」と振り返り、「先輩たちから、シカの行動や猟の技術を学びたい」と意欲をみせる。

 県猟友会によると、同会に登録されている2265人のうち、20代は44人で20歳は二ノ宮さんだけ。60歳以上が5割以上を占める。若手不足の現状に、二ノ宮さんは「たとえ興味があっても銃や装備などでコストが掛かる。仕事にできるわけでもない」と冷静に分析する。

 自身は卒業後、研究機関に身を置きながら、現場に立つことを目指す。「自然と人が共存していくためには、狩猟はこれからもっと必要になる分野。若い世代にも入って来てもらえたら」


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