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水素料理、あります “世界唯一”パリッとジューシー

社会 神奈川新聞  2016年01月10日 10:47

水素ガスの焼き台(後方)で調理した「鶏もも肉の香草水素焼き」を手にする秦オーナーシェフ=藤沢市弥勒寺3丁目の「リベロ」
水素ガスの焼き台(後方)で調理した「鶏もも肉の香草水素焼き」を手にする秦オーナーシェフ=藤沢市弥勒寺3丁目の「リベロ」

 「水素料理を召し上がれ」-。水素ガスを燃やした熱で調理した焼き物料理を提供するイタリアンレストランが藤沢市内にある。化石燃料と違い、二酸化炭素(CO2)を排出しない上、地球上に無尽蔵にあることから、将来のエネルギー供給の「切り札」として注目される水素。官民挙げた実用化の模索が続くが、生活に身近な料理の世界でも、神奈川発の取り組みが進んでいる。

 藤沢市弥勒寺3丁目のイタリアンデリ「リベロ」。店内の黒板には「世界で唯一の水素料理」と銘打ち、肉や魚の“水素焼き”メニューが並ぶ。「うちの看板料理です」。厨房(ちゅうぼう)で手際よく注文をさばく寒川町出身のオーナーシェフ、秦徹也さん(36)が笑う。

 水素料理を生み出すのは、2013年に導入した焼き台。屋外の水素ボンベから供給されるガスで食材を焼き上げる。水素調理機器を開発している「水素調理」(本社・藤沢市)から、「水素料理の普及」を託され、モニター店として焼き台の提供を受けた。

 秦シェフによると、プロパンガスや炭火の代わりに水素を使うことで、クリーンな上に、空気中の酸素と反応して生じる水蒸気の作用で、じか火で焼いていながら、蒸している効果も発揮するという。その結果、「表面はパリッと焼けて、中はジューシー。素材の味を閉じ込め、うまみを逃がさない。そして、何より柔らかく仕上がる。お年寄りにも好評です」。

 一方で、水素調理機器の開発は発展途上で、同社によると、プロパンガスに比べて1・3倍ほど割高な水素ガスの供給などに課題がある。同社は「需要が広がれば、コストは安くなる。水素料理を身近で味わえる環境づくりが大切」と指摘する。

 “水素料理人”を自負する秦シェフも「水素料理の認知度はまだまだ」と認める。それでも「おいしく、環境に優しい水素料理を広めるのは使命。一般家庭への普及の先導役として、将来は水素料理の専門店にしたい」と意気込む。

 水素料理の提供は午後5時半からで、コースメニュー(要予約)もある。日曜、祝日、隔週(第1、3、5)月曜が定休。問い合わせは、リベロ電話0466(55)2323=調理機器に関するものは不可。

広がる水素用途、官民で発信 自動車、料理、美容…


 水素は2014年に閣議決定されたエネルギー基本計画で「将来の2次エネルギーの中心的役割を担う」と期待された。実用化の柱は、水素を燃料に走る燃料電池自動車(FCV)。水しか排出せず「究極のエコカー」とされる。同年12月にトヨタ自動車が世界初のFCVを発売。受注は好調だが、大量生産が難しく、水素を補充するステーションの整備にも初期投資面などで課題がある。

 「FCVを中心とした水素社会実現を促進する研究会」事務局長の自民党・福田峰之衆院議員(比例南関東)は「水素は環境に悪影響を与えず、安定供給の可能性を秘めるエネルギー源。料理や健康、美容への応用も見逃せない」と指摘。「2020年東京五輪ではこうした水素関連技術をショーケースにして、官民一体で世界に発信したい」と話す。


水素ガスの焼き台(後方)で調理した「鶏もも肉の香草水素焼き」を手にする秦オーナーシェフ=藤沢市弥勒寺3丁目の「リベロ」
水素ガスの焼き台(後方)で調理した「鶏もも肉の香草水素焼き」を手にする秦オーナーシェフ=藤沢市弥勒寺3丁目の「リベロ」

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