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「ダブルケア」支援に広がり 横浜の産官学連携に全国関心

社会 神奈川新聞  2016年01月10日 10:44

将来予想される出来事や将来の夢を年表形式にまとめながらライフプランを考える講座=昨年11月、横浜市西区
将来予想される出来事や将来の夢を年表形式にまとめながらライフプランを考える講座=昨年11月、横浜市西区

 育児と介護が同時に進行する「ダブルケア」。当事者や家族を支える取り組みが横浜で静かな広がりをみせている。「当事者にどのように寄り添うか」。これまで想定されてこなかったニーズの掘り起こしを産官学が模索。晩婚や晩産、少子高齢化などが重層的に引き起こす社会問題に対し、横浜発の取り組みが県内外から注目を集めている。

 当事者に寄り添い支援者養成を行う任意団体「ダブルケアサポート横浜」は、研究者や当事者、子育て支援関係者などで構成される。問題への取り組みがほとんどない中、その活動は全国の関心を集める。

 昨年12月2日には、鶴見区の福祉保健活動拠点で開かれた当事者と家族の支援を語る座談会で講師役を担った。同団体の活動にかかわる英ブリストル大の山下順子講師は「ケアマネジャーやホームヘルパーなどの訪問型支援者が当事者に寄り添うキーパーソン。介護と育児の両視点を持つことが大事」と説いた。

 横浜市内で子育て世代を対象にダブルケアも念頭に置いた無料のライフプランニングセミナーを実施するのは、ソニー生命保険(東京都)。同社は昨夏、山下講師や横浜国立大学の相馬直子准教授と連携して全国規模のインターネット調査(回答数1000)を行うなど、ダブルケア問題に熱心に取り組む。同調査では30代女性の4人に1人が問題に直面した、あるいは数年後に直面する可能性があると回答した。

 セミナーは、実態と備えの大切さを若年層にアドバイスしようと企画。問題への取り組みが先進的な横浜で、モデル的に実施している。会場では、参加者が家族の暮らしの変化を年表形式の用紙に記入。支出額の大きな時期と親の介護が重なる時期を可視化することで家計面から把握しやすくするためだ。「親世代が元気なうちに話し合っておくと良い」と担当者。

 忙しい当事者を保育サービスや家事支援でサポートする事業者の動きも出てきた。横浜市と横浜信用金庫、日本ユニシスの3者が連携し、ダブルケアに関する資金計画や新規参入などの相談に乗る動きが12月、試行的に始まった。現在、家事支援などの約10社が相談を寄せているという。

 ソニー生命などによる調査では、「ダブルケア」という言葉を聞いたことがある当事者が5人に1人いた一方、未経験者を含めた全体では1割にも満たなかった。研究を通じて「ダブルケア」という造語を編み出した山下講師と相馬准教授は、言葉を介した理解の広がりに期待を募らせる。「現在直面していない人もダブルケアの視点を持ち、支援体制や社会のあり方を考え直していくことが必要」と提言している。


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