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笹子トンネル事故訴訟 地裁判決確定

社会 神奈川新聞  2016年01月06日 02:00

 中央自動車道笹子トンネル(山梨県)で2012年12月に起きた天井板崩落事故をめぐる訴訟で、トンネルを管理する中日本高速道路(名古屋市)と点検担当の子会社の過失を認め、2社に対して遺族に計約4億4千万円の賠償を命じた横浜地裁判決について、被告の2社は5日、控訴しない意向を明らかにした。同日が控訴期限で原告の遺族も控訴しない考えを示しており、地裁判決が確定する。

 訴訟は事故で死亡した9人のうち、同じ車両に乗っていた会社員5人の遺族12人が、2社に計約9億1千万円の損害賠償を求めて13年に提訴。2社は訴訟で事故前の点検や管理について過失を否定していた。

 昨年12月22日の地裁判決は、過去の点検時にも天井部分に200カ所を超える不具合が見つかっていたことなどから「事故の発生は予測できた」と判断、2社が事故約2カ月前の点検で入念な検査を行わなかった過失を認めた。同事故をめぐる初めての判決だった。

 遺族は2社の当時の役員4人に対しても損害賠償を求める訴えを起こしており、2月に横浜地裁で判決が言い渡される。また、山梨県警は業務上過失致死傷容疑で捜査している。

「本当の謝罪を」遺族

 笹子トンネル事故でわが子を失った県内在住の2組の遺族は、会社側の控訴見送りで地裁判決が確定する見通しになり、「喜ばしくはあるが、当然の対応」などと語った。ただ、犠牲になった命が戻るわけではなく、過失を認めない会社の姿勢に苦しめられた歳月を思い起こした。

 「やるべきことをしっかりやっていれば、子どもたちは死ななくて済んだということ」。旅行中の事故で死亡した石川友梨さん=当時(28)=の父信一さん(66)=横須賀市=は、あらためて無念さをかみしめた。

 上田達さん=当時(27)=の父聡さん(63)=横浜市金沢区=はこれまで、過失をめぐり争っている相手が法廷の外では頭を下げる姿に疑念を抱かずにいられなかった。「反省無き謝罪だった。これからは、亡くなった人たちに本当の謝罪をしてもらいたい」と話す。

 2月には、役員に対する民事訴訟の判決が控える。聡さんは「個人に対する責任追及は難しいとは思う」とした上で、「あれだけの事故で誰も責任を問われないのはおかしい。警察の捜査の行方も含め、しっかりと見守っていきたい」。信一さんも、「最終的な目標は再発防止。引き続き、訴えていきたい」と力を込めた。

 中日本高速は「判決で示された点検・維持管理体制に対する指摘を真摯(しんし)に受け止め、遺族の気持ちにあらためてしっかりと向き合わなければとの考えに立ち、控訴を行わないという結論に達した。遺族や被害に遭われた方々に深くおわび申し上げます」などとコメントした。


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