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加工適した「夢十色」栽培
横浜のブランド米に

話題 神奈川新聞  2016年01月01日 15:23

加工に適したコメ「夢十色」を手にする佐藤さん =横浜市緑区
加工に適したコメ「夢十色」を手にする佐藤さん =横浜市緑区

 横浜市緑区の農家佐藤克徳さん(56)が、リゾットやパエリアなど加工に適したコメ「夢十色(ゆめといろ)」の普及に挑戦している。県内ではほとんど栽培例がないというが、料理店などで使ってもらおうと2015年に初めて栽培、収穫した。地元・十日市場地区は高齢化の影響で、耕作が続けられない水田が増える中、「後継者たちに関心を持ってもらい、地域を代表するブランド米に育てられたら」と夢を膨らませている。

 佐藤さんは、JR横浜線十日市場駅近くで直売所「野彩家」を経営。コメのほか、年間を通じ多彩な野菜を手掛ける。こだわりの農業を実践する一人で、化学肥料はほとんど使わず、でんぷんのりなど環境保全型の農薬を使用。市から「特別栽培農産物」の認証を受けている。
 県農業技術センターによると、夢十色は、でんぷんの構成成分アミロースが多いのが特徴。炊いても粒がつぶれにくく、炊いて食べるよりも加工に適している。もちもちとした食感のコシヒカリなどとは対極にあるという。同センターは「糖分の吸収がゆっくりな点も特徴。県内で他に栽培している例は聞いたことがない」と話す。
 イタリア野菜を数多く作る佐藤さんが夢十色に着目したのは、イタリア料理店などで一緒に使ってもらおうという狙いだ。横浜は幸い、すぐ近くに有名なホテルや料理店が多数ある。都市農業のメリットを生かして販路拡大につなげたいと考えた。
 別の狙いもある。
 十日市場地区では、高齢のために耕作を断念する農家が増えている。しかし、一度、荒れた水田を元に戻すのは容易ではない。手間こそ掛かるが、田んぼのある豊かな風土を次世代に継承することが、今を生きる自分たちの使命-。そう考える佐藤さんは自身の土地のほか、近所から耕作を依頼された水田でも、コメ作りに励む。
 1年目に収穫した夢十色は、200キログラムほど。今はサンプルを提供するなどして反響を確かめている段階だが、需要が見込めれば16年以降、生産規模を拡大するとともに、仲間たちにも勧めようと思っている。
 夢十色は比較的新しい品種で販路確保が課題だが、チャーハン、お粥(かゆ)、雑炊と幅広い用途が考えられる。「比較的栽培しやすく、収穫量が見込める。農家の後継者の中で、作ってみたいという人が出てきたら、うれしい。十日市場発のブランド米に育てば、地域全体が活気づく」
 青写真を語った上で、こう力を込めた。「横浜でコメが作られていることを知らない人も多い。やっぱり一番は、地元の人に食べてもらいたい」


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