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父が米国人の宮本さんミス世界大会出場
胸張る「心は日本」

社会 神奈川新聞  2015年12月18日 17:04

「自分をアピールすることは人種問題について問題提起する良いきっかけになる」と語る宮本さん=都内
「自分をアピールすることは人種問題について問題提起する良いきっかけになる」と語る宮本さん=都内

「自分をアピールすることは人種問題について問題提起する良いきっかけになる」と語る宮本さん=都内
「自分をアピールすることは人種問題について問題提起する良いきっかけになる」と語る宮本さん=都内

 2015ミス・ユニバース日本代表の宮本エリアナさん(21)が現地時間20日、米国・ラスベガスで開かれる世界大会に出場する。日本人の母とアフリカ系米国人の父を持ち、「日本代表にふさわしくない」と心ない言葉も浴びた。「私の心は日本にあります」。時に疎外感を抱えた過去を乗り越え胸を張るその姿は、当事者の励みになっている。

 「カフェで『お疲れさまです』って言ったら、周りのお客さんが一斉に振り返った」。あっけらかんと笑う。「日本語お上手ですね」と言われるのもしょっちゅう。今でこそ笑い飛ばせる「外国人扱い」。明るさの裏には、人知れず疎外感を抱えた過去があった。

 長崎県佐世保市出身。両親は1歳で離婚し、母や祖母と暮らした。「家族でブラックは私1人。自分は何人なのかすごく悩んだ」。幼少期は「色が移る」と避けられ「アメリカへ帰れ」と言われた。父譲りの肌に劣等感を感じ、周囲と同じ「白っぽい」肌に憧れた。

 中3のころ、父に会いに渡米した。「ルーツを見つけすごくほっとした」。同時に、日本に帰ると安心する自分もいた。おぼろげだったアイデンティティーがくっきりしていった。「人は一人一人違う。『どこの国の人か』ではなく『どんな人か』が大切」。自分を認められるようになった。

 ミス・ユニバースへの出場を決めたのは、友人の不幸がきっかけだった。日本人と米国人の両親を持つ友人は、英語が話せないことなどを気に病み「居場所がわからない」と言い残し、自死した。救えなかった。「偏見や差別をなくそうと決意した。日本人の存在は多様であると、出場で示したかった」

 「日本人らしくない」「純粋な日本人が良い」。そんな中傷もネットに書き込まれたが、動じない。「偏見を変えたくて出場している。批判がなければ出る意味がない」。個性を認め合う社会の実現を目指し、世界大会に臨む。


 「人は一人一人違う」…
 外国にルーツ持つ女性らエール



 宮本エリアナさんの挑戦に、同じく多様なルーツを持つ女性らはエールを送る。そして、あぶり出された社会の一部の「本音」にやりきれない表情を浮かべる。

 「自分が抱く日本人像に当てはまらないと、日本人と認めない人がいる」。宮本さんへの中傷に葉山町の田村樹理さん(21)は痛感した。米国人の父と日本人の母を持ち、大学に進学して初めて混血である自分を意識するようになった。「堂々と振る舞っていてすごい」と、宮本さんの姿に勇気が湧く。

 日本とドイツにルーツを持つコラムニストのサンドラ・ヘフェリンさん(40)は指摘する。「批判的な人が忘れているのは、彼女の母国が日本であること。日本人といっても多様だが、そのことが浸透していないと分かった」

 相模原で学生時代を送った女性会社員(26)は、母がフランス人。幼いころは外出のたびに「外人」と指をさされた。日本では西洋人、フランスでは東洋人に見られ、どこにも確かな帰属意識が持てなかった。「人は一人一人違う」という宮本さんの言葉に深くうなずく。「世の中がカテゴライズする以前に1人の人間。彼女の活躍で、それが広く伝わってほしい」


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