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「武器輸出反対」でネットワーク 学者らが組織発足

政治行政 神奈川新聞  2015年12月18日 02:00

「武器輸出反対ネットワーク」の発足趣旨などについて語るフリージャーナリストら=衆議院第2議員会館
「武器輸出反対ネットワーク」の発足趣旨などについて語るフリージャーナリストら=衆議院第2議員会館

 政府が進める武器輸出に反対するジャーナリストや学者らが17日、「武器輸出反対ネットワーク」を発足させた。同日、都内で記者会見を行い「戦後70年間、武器輸出を禁じてきた日本の政策を大転換させるもので、許すことはできない」と訴えた。

 安倍政権は昨年4月、武器輸出を原則禁じる武器輸出三原則を撤廃し、一定の条件下で武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。

 発起人の一人である杉原浩司さんは「武器輸出三原則は衆議院と参議院の決議により決まったにもかかわらず、安倍政権は閣議決定だけで三原則を撤廃した。国会や民意を無視したやり方は明らかにおかしい」と、あらためて政策決定過程の不当性を主張した。

 安倍政権はすでに、オーストラリアが進める次期潜水艦の共同開発に名乗りを上げている。日本が受注すれば、兵器の技術移転に乗り出す戦後初のケースとなる。18日にはオーストラリアの首相が来日し、首脳会談が行われる予定。

 法政大名誉教授の奈良本英佑さんは「潜水艦輸出が決まれば、日本が世界に武器を売り出す扉を開けてしまう。輸出した武器は紛争地で人殺しに使われ、日本は戦争に加担することになる。絶対に止めなければならない」と訴えた。武器輸出反対ネットワークに賛同する市民らは17日夜、官邸前でデモを行った。
 


「死の商人にはなりたくない!」と書かれた横断幕を掲げ、武器輸出反対を訴える市民ら=官邸前
「死の商人にはなりたくない!」と書かれた横断幕を掲げ、武器輸出反対を訴える市民ら=官邸前

「政府は想像力が足りない」





「武器を売ることに対して、あまりにも想像力が足りない」-。紛争地で取材を続けるジャーナリストらは、武器輸出に対する政府の認識の甘さを厳しく批判した。

 昨年、パレスチナのガザ地区で取材したフリージャーナリストの志葉玲さんは、イスラエルの無人機が繰り返し、住宅密集地や学校を攻撃する惨状を目の当たりにしたという。「無人機からは日本企業の部品が見つかり、現地では大変な騒ぎになった。そういうことを日本だけが知らない。日本が輸出した武器が紛争地で人を殺す道具になるということを、もっと想像してほしい」

 今年10月、防衛省の外局、防衛装備庁が発足。武器の研究開発から量産、輸出までを一元管理するとしている。しかし、志葉さんは「日本政府が武器の国際共同開発に関わった場合、現状を見る限り米国の一元管理となり、日本に決定権はない。武器が他国に売られ、紛争地で使われたとしても『武器が戦争で使われることはない』と言い切れるのか」と疑問を呈する。

 今年9月、自衛隊の活動範囲を大幅に拡大する安保関連法が成立した。元自衛官の井筒高雄さんは「自衛隊は61年間、専守防衛で『国内に敵が攻め入ったときにしか武器を使わない』という訓練しかしてこなかった。武器を輸出しようにも、日本自体が武器使用の実績がなかった」と指摘。

 今後、自衛隊は国連平和維持活動の駆け付け警護が可能となり、自衛官が他国で武器を使用することも想定される。井筒さんは「政府は『リスクはない』という詭弁(きべん)を繰り返したが、現実を直視して今からでも国民にリスクを説明しければならない」と話した。


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