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【記者の視点】報道部・渡辺渉
刻む2015(2)阪神大震災は問う 重みを知るために

社会 神奈川新聞  2015年12月16日 13:29

被害を受けた波止場を保存、公開している神戸港震災メモリアルパーク。当時の爪痕を見学できる数少ない場所だ =今年1月、神戸市中央区
被害を受けた波止場を保存、公開している神戸港震災メモリアルパーク。当時の爪痕を見学できる数少ない場所だ =今年1月、神戸市中央区

 神戸は重い。そう思っていた。取材するにはそれなりの覚悟がいる。だから正直に明かせば、向き合うのを避けていた。

 災害の現場や防災の動きを取材するようになって11年。事あるごとに比較対象にされてきた神戸には、大都市における地震防災の教訓や復興を巡る課題が凝縮されている。

 6400人を超えた死者の8割が建物の倒壊や家具の転倒にともなう「圧死」で、「家が人を殺した」とまで言われた激烈な被害。再建の過程で仮設住宅や復興住宅で相次いだ被災者の孤独死、置き去りにされたとの批判が絶えない震災障害者の問題。そして、20年をへてなお完了をみない巨大な再開発事業。

 時に「復興災害」とも形容される問題がいまも立ちはだかり、容易に手を出せない大きなものに対峙(たいじ)しなければならないような気がして、なかなか足が向かなかった。


 1995年1月17日。通っていた大学の学食で、未明の地震のことが話題になった。被災地で何が起きているか知らぬまま、京都出身の友人に「そんなに被害は大きくなさそうだね」と軽口をたたいてしまったのを覚えている。発生直後は被害状況が詳しく報じられず、私自身もまた、被災地発の報道に深く接しようとしていなかった。

 不謹慎な記憶とともにある、直後の深刻な現場を取材していないという罪悪感にも似た思い。その自分に何が伝えられるのか。向き合うチャンスがあるたびに逡巡(しゅんじゅん)していた。

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