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「ReDEMOS」が発足
立憲民主主義の崩壊止め前進へ

政治行政 神奈川新聞  2015年12月15日 02:00

ReDEMOS設立会見に臨むメンバーら
ReDEMOS設立会見に臨むメンバーら


 国会前で声を上げてきた「SEALDs」や「安全保障関連法に反対する学者の会」のメンバーや、弁護士らが、市民のためのシンクタンク、その名も「ReDEMOS」(リデモス)を立ち上げた。民衆(DEMOS)への応答(Re:)の意味を込めたという。狙いは、まさにいま崩壊しようとしている立憲民主主義を守ることだ。代表理事に就いたのはSEALDsの奥田愛基さん(23)=明治学院大。
 「NOと言う力にアイデアを組み合わせることで新しい力になる」と期待を込める。1時間半にわたった設立会見の概要を詳報する。

 国会前で声を上げていたときと比べ、いくぶん肩の力が抜け、穏やかな笑顔を見せ会見に臨んだ奥田さん。「ちょっと久しぶりの会見でしゃべり、なんかカメラがめっちゃカシャカシャいって、驚いていますが・・・」と笑いながら切り出し、ReDEMOSの取り組み内容や、立ち上げの経緯について説明した。


発足に至る経緯について説明する奥田さん(中央)
発足に至る経緯について説明する奥田さん(中央)

三つの柱と発足の経緯



 「リベラル、リスペクト、リニューアルという三つの軸からいまの社会、政治に対して市民のための新しい政治のあり方、そういうものを探っていくということをやっていきたい」

 「ReDEMOSは個人の自由と多様性を尊重し、立憲主義を擁護するリベラルな政治を基本理念とします。また、リスペクトによる政治を求めます。自由な個人が相互にその尊厳を認め合うリスペクトの政治を基本理念とします。また自由で民主的な社会を支える政策アイデアを刷新するリニューアルの政治を基本理念とします」
 
 「ReDEMOS設立の経緯を初めに説明したいと思います。私たちが望むのは、日本に生きる一人ひとりが、自由と尊厳を大切にする社会です。私たちはそのために、立憲主義に基づき、自由と民主主義の価値を尊重する政治を求めます。戦後70年を迎えた2015年の夏、日本では立憲主義と民主主義をないがしろにする形で安保法制の立法が強行されました」

 「沖縄の辺野古基地建設の問題も、選挙によって示された沖縄の民意だけでなく、法治国家の正当な民主的プロセスも無視するものであると大きな反発を招きました。日本社会はいま、多くの課題を抱えています。その解決策については、様々な立場から自由闊達な議論が行われるべきです」

 「しかし、そうした民主的な議論は、立憲主義、自由、民主主義といった根本理念が尊重されて、初めて健全に機能するものです。民主主義にふさわしい、尊厳ある個人の自由を保障するためには、一定の平等や公正な分配が達成されることも不可欠です」

 「さらには、日本は国際社会と連帯し、東アジアの平和構築へ向けた責任ある判断をしていけなければなりません」

 「私たちは経済や生活保障、安全保障といった個別の政策について、包括的かつ領域横断的に研究します。そしてその知見を日本社会に対して発信し、目指すべき社会とはどのようなものか、大局的なビジョンを提示していきたいと考えています。私たちは個々の政策的な垣根を超え、個人の尊厳や自由を尊重する社会の実現に向けて、政策のアイデアの刷新を行い、具体的な制度づくりや取り組みを進めていきます」

 「いま求められているのは、危機に瀕している立憲主義と民主主義とを取り戻すことだけ、ではありません。自由、民主主義、平等、公正といった普遍的な理念を実現するアイデアと制度を、常にアップデートさせていくこともまた、私たちの重要な仕事です」

 「最後に、ReDEMOSとは、民衆(DEMOS)と、応答としての(Re:)の意味です。国会前抗議やデモを原点とする私たちが、日本の民主主義を問い直し、私たちの考える社会のビジョンを示し、市民相互の広く活発な応答関係を構築することで、日本社会が進むべき未来のあり方を探りたいと思います。その思いでReDEMOSと名づけました。一人ひとりの尊厳を大切にする社会。それがわたしたちの構想する、未来の日本の姿です。ありがとうございます」

シンクタンクの意義


ReDEMOS設立の意義について説明する上智大教授の中野晃一さん(左)
ReDEMOS設立の意義について説明する上智大教授の中野晃一さん(左)


 経緯の説明を終え、次いで「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人の一人、上智大教授の中野晃一さんが、ReDEMOSの意義について説明した。

 「この間、立憲デモクラシーの会、そして安全保障関連法に反対する学者の会の呼びかけ人の一人として活動してきました。このたびReDEMOSについては理事の一人として参画します」

 「私たちは国会前の抗議を原点としてSEALDsの若者たち、そして学者や弁護士が協働してリベラルの側から発信していくシンクタンクを作ります。あくまで主権者としての市民のための議論に資していく情報発信、アイデアの発信をしていきたいと考えている」

 「大きく三つのフェーズを設けます。一つ目は重要な政策課題について、市民が熟議する際に必要になる分析と、多様な視点の提示。時局的な事柄や時事問題、重要な政治課題について情報を発信する」

 「国内外の報道や研究者が注目していることについて、分析を加えながら、ある種の視点を提供することになる。SEALDsの若者や、学者の会のメンバーの協力も得ていく。一線で活躍する研究者が、起きた出来事を分析し、見方を示していきたい」

 「こういったことを通じて、ReDEMOSの若手研究者も学んでいき、次の第2のフェーズとして『論争』する。つまり異なる立場から建設的で自由闊達な議論ができる場の構築だ。例えば、これまでSEALDsがやってきた意見交換会、勉強会といったものを発展させる。学者の協力も得て、若者たちが参画し議論し、自分たちのものとしていく場にする。実際に集まって議論を交わすことを考えている」

 「そして議論の深まりを踏まえた第3フェーズとして『提言』を考えている。時局にかかわる情報を加え、議論を闘わせた上で提言する。市民、政府、政党、政治家に対する政策提言を具体的に行っていきたい。立憲民主主義を強化することだけでなく、生活保障や労働、経済、安全保障にかかわることについても取り組む」

 「すべてのフェーズ(段階)で、学者や学生、法曹の協働作業で行っていくことが一つのモデルだ。最終的には、より広い市民社会の議論を招いて、我々の考え方もまとめていきたい」

立憲民主主義促進法


「立憲民主主義促進法」の内容や趣旨、狙いについて説明する弁護士の水上貴久さん(右から3人目)
「立憲民主主義促進法」の内容や趣旨、狙いについて説明する弁護士の水上貴久さん(右から3人目)


 次に弁護士の水上貴央さんが具体的な法律案として想定している「立憲民主主義促進法」について説明した。

 「ReDEMOSの活動では、視点を提供し、議論すると同時に、具体的な提案・提言をしていく。その第1弾のプロセスとして、立憲民主主義の崩壊を防ぎ、持続的維持発展させる立法提言に取り組む。通称『立憲民主主義促進法』を提言する」

 「まず今回の安保法は、大きく二つものを破壊しようとするものだと考えています。一つは立憲主義。もう一つは民主主義だ」

 「まず立憲主義だが、この国の法案はどんなに必要性があっても、日本の安全保障環境に変化があったとしても、憲法に適合しない法律は作ることができない、というのが我が国の憲法秩序です。この立憲主義という考え方が今回破壊されつつある」

 「だが、日本の現在のガバナンス(統治)構造では、明確な憲法裁判所が位置付けられていない。これまでは、内閣法制局が法律をつくる時点で(合憲性を)事前審査をしていた。だから憲法裁判所がなくても違憲な法律はめったにできなかった。どうしようもなく違憲なものは、具体的な事件があったときに裁判所が付随的審査として合憲性を判断してきた。この国の立法はこうした形で成り立ってきた」

 「だが今回残念ながら、人事権を盾にして、内閣法制局が無効化されてしまうという事態が生じた。結果的に内閣法制局による憲法適合性の審査が、合理的な形で行われることなく、この法案は、国会で審議される手続きに入ってしまった」

 「このような状態では政府が合憲と言えば合憲になってしまう。だが憲法に適合するかどうかを決める権限は政府にはない。そのとき、適切に憲法適合性を判断するシステムとしてこの国に存在しているのか、という問題が生じる。これまでは内閣法制局がやってきたが、今回ほぼ破壊された」

 「つまり、政府から独立して、立法段階で憲法適合性を審査できるシステムを作らなければいけないと考えるわけです」
 「さらに、事後的に裁判所がその法律の憲法適合性について判断できる機会を拡大しなければいけないかもしれません。これが1個目のテーマです」

踏みにじられた立憲民主主義


 「もう一つが、民主主義の破壊。私自身、(参議院の)地方公聴会で公述人をさせていただいたが、結局その内容は派遣報告がなされずに、法案は通ってしまった。それどころか最終的な採決のプロセスでも、速記が起きていない『タイム中』に、いわゆる『かまくら採決』されてしまった。与党の議員が委員長を取り囲んで、野党議員からすれば何が採決されているかも分からない状態で、人が立ったり座ったりして法案ができたことにされてしまった」

 「これは適正な民主的プロセスではなく、採決自体が不存在であったと思う。総括質疑も反対・賛成討論も行われなかった。著しく適正な民主的プロセスを侵害する形で、民主主義を踏みにじって立法が行われた」

「良識なき多数派」から民主主義守る


 「ところが、これを是正する手段が現状のガバナンス(統治)構造にはない。これは国会の自立権によるもで、国会はそもそもそういう問題がないように自立的に適正なプロセスで行われる、という考え方に基づいて統治構造が成り立っているからです」

 「ただし、これは権力を握っている多数派が良識的であることを前提としている。つまり良識なき多数派が登場したとき、いまの制度では是正する明確な手段が存在しない。だから、良識なき多数派から、民主主義を守るための仕組みを、わが国のガバナンス(統治)構造がきちっと持っておかなければならない、ということになる」

 「これは今の政権がどうかという問題ではない。どの政権だろうと『かまくら採決』をしてはいけない。わが国の民主主義が破壊されないようにする仕組みが必要だということです」

 「立憲民主主義促進法を提案するのはこの二つの問題意識に立っている。現在の統治構造では立憲主義と民主主義がそれぞれ破壊されそうになっている。この破壊を止めるということ」

食い止めだけでなく、前進も


 「破壊を食い止めるだけではない。どういう制度、プロセスが必要なのかということを市民がしっかり考え、実現していくことで、わが国の立憲民主主義をこれまでよりも一歩進めることにつながる。これまでは、多数派の良識に任せる形だったが、2度と今回のようなことは起こさせないという、しっかりした立憲民主主義を作り上げていこうということが、今回の提言になる」

 「民主主義との関係では、国民が適切に立法に向けた判断をおこなうことができるようにするための『報道の自由』の確保が必要になる。具体的には、政府によるメディアへの不当圧力を禁止し、自立的な報道を確保するための法律だ。また、現行でも情報開示については法律があるが、例えば国会などの場で実際に立法を行う場合には迅速に情報開示される新しい情報開示の制度が法定される必要がある」

 「加えて、賛成反対討論や、地方公聴会の派遣報告など、立法のプロセスについて禁止事項を明確にしておくべきだ。議員の表決権という基本的権能が奪われるような形で法律を成立させることはできない、というルールを明記するべきだ。現状ではこうした明確なルールが存在していない。これでは多数派がすべてを決めてしまう。明記したルールに反した場合には、国会で異議を申し立てできる制度も盛り込みたい」

 「今回、野党は抗議したが、まったく聞き入れてもらえなかった。なぜか。そもそも意義申し立ての方法が制度として明確に決まっていなかったのです。多数派が著しく民主主義を踏みにじったときにどのような形で異議申し立てがなされるのか、ということも制度として組み込んでいかなければいけない」

 「こうした一連の手続きについて、実務家や学者の協力を得た上で、来年4月か5月には、法文を示したい」

悔しさを乗り越え


 奥田さんが補足としてマイクを持った。

 「具体的にイベント、そしてメディアへの情報発信。ホームページを使ったり、動画コンテンツを作っていく。そして政策提言を法律レベルにまで持っていきたい」

 「SEALDsのメンバーと、弁護士の方々となぜこうした団体を作ったかという点についてだが、水上先生も僕も、公聴会に呼ばれた。なぜ国会で、このようなことが起きているのに止められないのか。正式な手続きの中で異議を申し立てはできないのか。なぜ地方公聴会の内容が受け入れられないのか。なぜこれだけ違憲と言われた法案が合憲だとされるのか。そのような問題意識の中で、もっと自分たちの社会の制度を民主的なものにできないのか、と考えた」

 「今年の夏、たくさんの悔しさがあった。なぜこうなんだと。そう思ってるんだったら法律でちゃん定めようということ。このような政治を私たちは求めている、と言っていこうと思う」

 「デモの反対派は『NO』としか言わない、と言われるが、実際にはそうではない。このような制度は、こうした方がいいという考え方がこの夏に生まれた。それを法律レベルにして、政治政党に訴えていきたい」

【一問一答】


ReDEMOS設立会見に臨むメンバーら
ReDEMOS設立会見に臨むメンバーら

―参院選の争点になりそうな、TPPやアベノミクスに関連する経済政策のほか、原発の再稼働などについても、安保法制と同じように政策提言していくのか。また、野党統一候補の予定者と意見交換・助言といった考えはあるか。

 奥田 「TPPやそのほか他の政策もたくさんある。来年は選挙もある。参議院選の争点、野党共闘の話もある。実は来週も記者会見の予定があり、そこでは『立憲市民連合』の設立というものを考えている。学者の会やSEALDs、弁護士、そのほかの方と次の選挙でどうやって闘っていくかを明確に示す。ReDEMOSは、次の参院選、衆院選だけでなく、もう少し長い期間で考えていく。扱うイシュー(課題)としては、再生エネルギーや、経済についても対象にする」

 水上 「まさに来週作られる団体と、ReDEMOSとの関係だが、ReDEMOSはシンクタンクを標榜している。具体的に政策や立法という弾込めをするということ。立憲市民連合は、実際にどうやって選挙に勝っていくのか、政治につなげるかという視点で取り組む」
 「あまり政治に寄りすぎると、必要な政策に、しがらみが増えてしまう。ReDEMOSは必要な政策を骨太に示していく」

―シンクタンクとして具体的に研究は誰がやるのか。

 中野 「若い人たちにどんどん入ってもらい、中高年の学者が協力して、政策について考える人材を育てるという意味を込めて取り組む。今日ここに並んでいるメンバーは研究員として参画する。実際に学び、発信する。もちろん、急にできることではない。今回の立憲民主主義促進法のようにある程度弁護士との協議の中で生まれてきているものを先行させる形になる」
 「研究員は、大学生や大学院生。学者に協力してもらい専門分野の知見を社会に還元していく。当面は、常勤ではなく無給で10人程度が研究員になる。寄付を基本にしていく運営していくことになる」

 奥田 「今までのシンクタンクは政治政党や企業に向かっていた。どのように発信するのか、そのデザインはあまり考えられていなかったと思う」
 「ReDEMOSでは、単純に研究員というだけでなく、社会にどうやって発信し、それがどうやって社会で使われ、議論されていくのか、というところまで、考えたい。発信のアイデアについても、注目してもらいたい」

 

―構成メンバーについてもう少し詳しく。

 中野 「シンクタンクといっても、今回はどちらかと言えばバーチャルなシンクタンク。常勤の研究員とか雇うという話ではない。財政基盤もない。学生の中で、継続的に具体的な研究をしていきたいと考えているメンバーが研究員となる」
 「加えて、実際に政策を作っていく段階になると、一線の研究者が必要になる。それは個々のプロジェクトを立ち上げていく」
 「例えば(所得の)『再分配』について考えるなら、その分野の専門家にも協力してもらう。そこで若手の研究員が実際に手を動かす。立憲民主主義促進法もそのプロジェクトの一つ。それぞれ最も最適なメンバーで取り組むことになる」

 

―市民にとってどういう存在でありたいか。

 水上 「おそらく今回の安保法制の審議・採決に対し、本当に多くの方が国会前に集まり、反対の声を上げ、そして怒りを感じたのだと思う。だが、私たちがこれから何かを成し遂げようというとき、怒りという感情だけではどうにもならない。怒ってるだけでは参院選、さらには次の衆院選までなかなか大変だ」
 「こうすればわれわれの立憲民主主義はもっと前へ進むことができるということと、いまの怒りが、うまく結合することで、持続的運動にできる」
 「もう一つ。市民に対して『いま怒って路上に出ることはちゃんとその先のもっと豊かな立憲民主主義につながる萌芽になっている』ということを示すコンテンツになることがReDEMOSの重要なテーマ。僕らがSEALDsとそれをやることに意味がある」
 「コンテンツは分かりにくいと伝わらない。SEALDsのデザイン力や発信力を組み合わせることで、路上で声を上げている人たちにとって使いやすいものにしたい。言いっ放しじゃない。市民が使ってくれるような、わくわくするようなコンテンツをデザインする」

 奥田 「怒ってばかりでは続かない、というが僕は結構まだ怒ってます。ただ、怒ることも大事だとは思うが怒った力をどう変えていくか。『NO』という言葉を、『こういうものが必要だ』という力に変えられるはずだ。デモをする力が、新しいものを生み出していく」
 「僕は中学、高校と田舎に住んでいた。でもインターネットでハーバード大の授業が見られるのを知ったとき、すごくわくわくした。地方にいながら大学の授業が受けられた。新鮮な感覚だった。ウェブ媒体では、世界中どこでもアイデアを共有できる。何かを変えたいというときのツールとしてReDEMOSを使ってもらえたら、こんなにうれしいことはない」

 

―「市民」とは何を指すのか。

 中野 「既存のシンクタンクに、市民のためのシンクタンクはほぼない。政界や財界へアウトプットにしている。私たちは、市民社会からきて市民社会に還元していく。そういう意味では日本社会で暮らしている人、あるいは世界との対話も(市民に)含めている」

 水上 「私は、もっとリベラルと保守が胸襟を開いて語り合うべきだと思う。そのためにはもっとリベラルが分かりやすく発信していくことが必要になる。対話を拒んで一方的な主張をするつもりはまったくない。だが議論をしていくための軸は示す。提言する材料は少しリベラル寄りかも知れないが、議論は広く市民とやっていきたい」

 

―参院選までに提言したいものはあるか。

 水上 「立憲民主主義促進法は早ければ来年4月にも出す方向。このほか二つくらいの提言を出すために準備を進めている。経済的な提言については時間がかかるが、取り組んでいく。政治日程にも左右されるだろう」

―意見の異なる市民とも議論するというが。
 中野 「いろんな考え方があるが、自由と民主主義はわれわれの生活の基盤になっている。それが壊されそうになっているからSEALDsは緊急行動をとった。今回のReDEMOSは弁護士や学者が若者と一緒になって持続的に行動していくことが市民にとって重要な役割だという認識だ」
 「だから、自由と民主主義という基本的価値については譲らない。それは右とか左とかいう問題ではない。その上で、より保守的、進歩的・革新的な人はいるかもしれないが、積極的な議論をしていく」

ReDEMOSのメンバーから一言


予想を超える報道陣が詰めかけた会見場
予想を超える報道陣が詰めかけた会見場


 本間信和さん(筑波大3年、社会学専攻)
 「教育政策、医療政策、福祉施策について、いまの日本の政策や、よりよくしていくためにはどうするのかという点について取り組んできたい。国として、制度として教育にお金を払っていくことについてどういうメリットがあるのか、きちんとまとめて発信していきたい」
 「今日私たちは、比較的フォーマルな格好をしていますが、夏はTシャツや短パンだった。ReDEMOSは、そういうシンクタンクにしたいと思っている。国会前に来ていた人、『この法案はなんなんだろう』と思っていた人が、ぱっと調べられるようにしたい。民主主義社会とは、意見の異なる他者と共に生きる社会ですから、いろんな意見の違いを健全に議論できる言論空間を作りたい」

高野千春さん(上智大国際教養学部、人類学専攻)
 「人類学は、市民の声、個人の声の価値観を社会に訴えられるものだと思っている。大衆が思う価値観から市民、個人を見るのではなく、個人、市民の視点がどう見ているのか。それを社会に還元していく。市民や個人、集団の持っている価値観を社会に訴え、社会の共存を促進していきたい。そうした視点でReDEMOSの研究に関わっていきたい」

千葉泰真さん(明治大大学院1年、政治体制論専攻)
 「民主主義は未完のプロジェクトであると言われるように、投票行動だけでは民主主義は完成しえない。投票以外でどうやって政治に参加できるのかという視点。日本社会ではあまりデモが行われてこなかった。だがこの夏、国会前のデモという方法が示された」
 「投票やデモ以外にも民主主義を補完する方法があると思う。それが市民側からの政策提言であったり、『知』のプラットホームを作るということ」
 「政治というものは、短期的には大きく変わらないだろう。だから楽観はしていない。5年、10年、20年という中でこの国の政治を変えていかなければいけないと思っている」
 「時局的には自公政権の推し進めるような政策に対する対抗軸をはっきりとした形で示すことを考えながら活動していきたい。この夏の市民の怒りや声の受け皿を作りたい」
 「それはもちろん、政党がやる仕事だが、政党だけの仕事ではない。市民側からの政治参加の中で、僕たちも市民のためのシンクタンクという形で民主主義を補完することを模索したい」

芝田万奈さん(上智大2年、国際経営学部)
 「この夏、SEALDsとして国会前で抗議活動を続けてきて、なぜ明らかに違憲な法案が、合憲だとして成立してしまうのか。民主主義社会ではないのか、なぜ機能しないのか。そう考えた。民主主義社会を一緒に作って行きたいと思い参加した」

根本的価値が脅かされようというとき


 中野 「私自身、一人の市民として行動した。大きな驚きだったのは、憲法学の権威ともいうべき先生が路上に来たこと。その中でも、東北大と東京大の両方の名誉教授という樋口陽一先生(憲法学)が路上でマイクを握った。そのときおっしゃっていたのは『専門知と市民知が一緒になってきている』という話だった」
 「学者はともすると専門的に細分化されていき、象牙の塔といわれる大学の中で、それぞれが学者同士での議論に終始しがちだった。だが、自由と民主主義という根本的価値が脅かされようとしているとき、思い切って専門知が表に出たことで、市民知と向き合うことができた。この二つの知見のあり方を切磋琢磨していって、日本の自由と民主主義を活性化していきたい。ReDEMOSが果たしていける役割があるのではないか、と考えている」

絶望ではなく、「わくわく」


 水上 「全体的な、雰囲気として日本に絶望している人が増えているのではないかと感じている。このままいくと次の選挙でもう明文改憲となって、国家緊急権が入りおしまい、と考えている人も多いのではないか。私もそう思っていた。今回学生の皆さんと議論を積み重ねる上で、日本はまだまだ良くなると感じた。私たちはこれから立憲民主主義を再構築することができる。まさに今日、新しい第一歩を踏み出すために、われわれができることを始める。たぶん日本に住む市民は新しい立憲民主主義を形作ることができる。今日大変明るい気持ちで会見にきた。わくわくする活動をしていきたい」

「なぜこうしないのか」を形に


 奥田 「実はやりたいことがたくさんある。こうしたらいいのではないか、というアイデアが生まれた。(東日本大震災)の3・11以降、なんでこうならないのか、なぜこうしないのかと考え続けてきた。答えてくれる人みえない。つながらない。自分もそういう中で、デモってどうなんだろうという中で、やれることやってみようと思ってやってきた。例えば(インターネット動画の)ユーチューブに大学の授業が無数に上がっていて、誰でもアクセスできる社会って面白い。ReDEMOSと関係ないかも知れないが、コンセプト的には、なんでこういうものってなかったんだろう、という発想からReDEMOSがある。これからもいろいろ出していく。一緒に考えていきましょう」


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