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海岸浸食の課題改善へ 相模川流域の土砂管理計画を策定

社会 神奈川新聞  2015年12月04日 15:35

 相模川流域を管理する国土交通省と神奈川、山梨両県はこのほど、「相模川流砂系総合土砂管理計画」を策定した。ダム建設などによって上流からの土砂供給が減少したことで生じた河口周辺の海岸侵食や生態系の悪化などの課題改善を目指す。県内ではこうした基本計画は、県が2年前に策定した酒匂川に次いで2河川目になる。

 計画は河川管理者の3者が2003年12月、学識者や市民からなる「相模川川づくりのための土砂環境整備検討会」を設置して議論を進めた。今年2月に計画案を公表、6~7月に意見募集を行って策定した。

 計画では、目指すべき健全化のイメージとして「昭和30年代前半の相模川」を設定。この時期の土砂供給量は河口域で年間約6・5万立方メートルあったが、現在はその約15%の約1万立方メートルまで減少したと推定している。

 長年に及ぶ土砂供給量の減少で、近年顕在化した課題を列挙。中でも深刻度を増す茅ケ崎市の茅ケ崎海岸(柳島地区)の侵食と相模原市南区の磯部頭首工周辺の河床低下については重点課題に位置付けて対応策を示した。

 茅ケ崎海岸の侵食防止は、中流域で06年から試行してきた置き砂を拡大。ベルトコンベヤーを用いて流量に応じて土砂還元量を調整できる新たな手法も検討する。目標は、短期(5年程度)では相模ダムにたまり、浚渫(しゅんせつ)した土を活用した養浜量(年間1万立方メートル搬入)の軽減を図り、中長期的に不要とするとした。

 農業用水の取水堰(ぜき)である磯部頭首工は床止め部を含め、河床の深掘れや土砂堆積を緩和させる改築を実施。堰の開口部を広げるなどして土砂移動の不均衡を是正する。

 このほか、(1)河口干潟環境の保全(2)魚類などの水生生物の生育場の保全(3)カワラノギクに代表される河原系植物の生育に適した礫(れき)河原の保全・回復(4)山間渓流環境の保全-を盛り込んだ。

 既に応急的に被覆工事に着手している厚木市内の三川合流点で露出する土丹層(硬い粘土質)問題や、礫河原が半減した中津川の樹林化問題は対策を継続する。

 国交省京浜河川事務所は「計画案から大きな変更点はない。意見募集には10人62件の応募があり、土砂還元の際に取水堰や自然環境に配慮してほしいなどが目立った」と説明。今後、計画は5年に1回程度、再確認を行って見直しを検討するという。


磯部頭首工周辺の河床差は約8メートルに達している=相模原市南区
磯部頭首工周辺の河床差は約8メートルに達している=相模原市南区

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