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インバウンドに照準 川崎駅前ビルをホテルに再生

経済 神奈川新聞  2015年12月04日 03:00

1泊3500円の2段ベッドの宿泊スペース
1泊3500円の2段ベッドの宿泊スペース

 JR川崎駅東口にある築20年を超える事務所ビルをホテルに再生した「ON THE MARKS(オン・ザ・マークス)」(川崎区小川町)が、増加する訪日外国人観光客(インバウンド)向けの新しいビジネスモデルとして注目を集めている。手頃な宿泊料金ながら、旅の楽しさを提供しようと、和のアートで館内を彩り、食や音楽に川崎らしさも込めた。

 ホテルはJR川崎駅から徒歩6分の繁華街そばに今秋にオープン。住民が自由に設計できる集合住宅「コーポラティブハウス」で100棟を超す実績があるUDS(東京都渋谷区)が改装、運営を手掛ける。

 しばらく空いていたビルを購入した投資ファンドから依頼を受け、再生を図った。建物の用途を変えて全面改装する「コンバージョン」と呼ばれる手法について、支配人の吉岡明治さん(42)は「新築するよりも大幅に安く仕上がり、工期も短く、リーズナブルな宿泊料金を提供できる」とメリットを話す。

 ホテルのコンセプトも各地で不動産再生を手掛けた同社が提案。吉岡さんは「品川から電車で9分間、羽田空港からも近い。都内でホテルが不足しており、今後の需要増が見込める外国人観光客の利用を意識して企画した」と説明する。

 建物は地上6階、地下1階。延べ床面積は約3千平方メートル。1階はガラス張りのビアレストラン、客室は約230室。個室(1泊5800円~、8千円~)のほか、1泊3500円の2段ベッドタイプを多数用意。館内や客室の壁にはワシや竹などをあしらった和のアートも施した。

 川崎らしさを感じてもらう工夫も。「地元の人と宿泊客が交流できる場」(吉岡さん)として設けた1階レストランは「音楽のまち・かわさき」をイメージしし、アナログレコード約300枚をそろえ、ビンテージスピーカーを置いた。市内産を中心に8種類のクラフトビール、川崎の食文化を意識して肉の料理も提供する。

 UDSが予備校校舎を再生した京都のホテルは外国人の宿泊者が半数を占めるといい、川崎でも同様の利用を目指したい考えだ。

 課題は海外での「カワサキ」の認知度アップ。ホテルをネット検索する際、一部のサイトで川崎は東京23区以外でくくられてしまっているという。吉岡さんは「外国人向け予約サイトや海外旅行代理店などに川崎の利便性の高さを知ってもらう努力をしていく。『かわさきハロウィン』など地域イベントと連動した誘客も行い、ホテルの認知度も高めたい」と話している。


「音楽のまち」を意識した1階レストランにはアナログレコードが並ぶ
「音楽のまち」を意識した1階レストランにはアナログレコードが並ぶ

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