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海底特攻「伏龍」
戦争のある人生(1)竹竿で敵艦を突く

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神奈川新聞  2005年11月27日公開  

門奈さんが横須賀市立野比中学校に寄贈した伏龍隊員の模型
門奈さんが横須賀市立野比中学校に寄贈した伏龍隊員の模型

 10メートル程度の深さでも、海の中は光に乏しく薄暗かった。「たそがれのような感じでした。どんよりとして…」。終戦の直前、横須賀市の野比海岸で海軍が極秘裏に進めていた海底特攻「伏龍」の元隊員、門奈鷹一郎さん=同市=が昨年9月、85歳で亡くなった。経験者の一人として、断片的な情報しか残されていなかった「最後の特攻」の実態を伝えるべく、調査研究に後半生をささげた。

 伏龍。名前こそ勇ましいが、兵器としてはあまりに原始的だった。バケツ大の機雷を付けた竹ざおをささげ持って海底に待機し、敵艦が頭上を通過するのに合わせ船底めがけて体当たりするのだ。門奈さんが潜水訓練を行ったのは1945年7月半ばから終戦までの1カ月。同年秋と想定された米軍の上陸を、文字通り水際で退ける目的だった。

 浮力にあらがうため、総重量68キロもの潜水具に身を包んだ。3、4人の補助員に取り囲まれて足に鉛製の「わらじ」、背中に2本の酸素ボンベ、頭に鉄かぶとを装着。顔面を覆う「面ガラス」のねじがギリギリと締め付けられると「ああ、これで現世とお別れだ」と感じさせたという。

 真夏とはいえ海中は冷たい。潜水服の中に純毛のセーターを着込み、十数人乗りの小さな和船でペリー上陸碑の沖までこぎ出し、体を海に沈めた。底に足が着いたら命綱をモールス信号のように「長、短、短」のリズムで引っ張り、船上の仲間に合図する決まりだった。「海底ではうまく足が出せませんでした。徒競走のように体をぐーっと前に倒して、足で砂を蹴飛ばしてやっと歩きました」

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