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「出版甲子園」グランプリ 熱い思い、念願の本に

カルチャー 神奈川新聞  2015年11月29日 03:00

「恋する昆虫図鑑」を手にする篠原さん
「恋する昆虫図鑑」を手にする篠原さん

 学生が世に出したい本の魅力を伝える「出版甲子園」でグランプリを獲得し、念願の出版にこぎ着けた女性がいる。横浜市中区の慶応大学3年生、篠原かをりさん(20)。「夢をかなえるためには、とにかくスタート地点に立つことが大切」と同世代の背中を押す。

 大会は今年で11回を数え、すでに28冊の本が世に送り出された。篠原さんは昨年のグランプリ。大会でのプレゼンテーションから生まれたのが、「恋する昆虫図鑑 ムシとヒトの恋愛戦略」(文芸春秋)だ。

 大学にも、カイコの研究でAO入試に合格するほどの昆虫好き。本の中では人間の恋愛模様を、「擬態上手な悪女 カマキリ系女子」「とにかく目立ちたくない コオロギ系男子」と、虫の生態や交尾方法に例えて30種類超に分類するユニークさが目を引く。「昆虫の交尾や生存戦略が好き。人間も似たようなものだと思った」。長年培った観察眼が生きた。

 10月下旬に発売されると、横浜駅周辺の書店をくまなく回った。「インターネットの売り上げランキングを上げようと、自分と両親で100冊近く購入しました」と屈託なく笑う。

 横浜双葉高校時代は文芸部に所属したが、文化祭で売り出す部誌に小説や詩を書く程度。それでも、本を出したい気持ちは強かった。人見知りとあって人前で話すのは苦手だったというが、「甲子園」最終審査の公開プレゼンテーションでは、持ち時間を超えるほど熱い思いがあふれ、栄冠を勝ち取った。出版社からの依頼も多数あり、受賞から1年たたないうちに形になった。

 「人生が大きく変わりました」。大学でプレゼンの授業を取ったり、広告代理店で実習を受けるなど、積極的になった。進路先も脚本家など本格的に書く仕事を目指そうと、大学院の進学を考える。「今はまだ、さなぎの中で形になってきたくらい」。チョウとなって羽ばたく日を期して、さらなる研さんに励むつもりだ。

 「恋する昆虫図鑑」は、四六判変型208ページ。1200円(税別)。全国の書店で販売中。


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