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女子高生も「漁師になりたい」 神奈川で初の就業マッチング会

経済 神奈川新聞  2015年11月22日 03:00

女子高生も参加した「漁業就業マッチング会」=波止場会館
女子高生も参加した「漁業就業マッチング会」=波止場会館

 漁師、求む-。漁業就業者の減少を食い止めようと、神奈川県と神奈川県漁業協同組合連合会(県漁連)は21日、横浜市中区の波止場会館で漁業就業マッチング会を初開催した。高齢化などで後継者を求める船主、大消費地を抱え多角化を狙う漁業者が、人材確保に奔走する。

 マッチング会には求人側から漁業者や団体11、求職側から一般市民56人が参加。40代を中心に、女子高生や大阪から来た若者の姿もあった。

 「武丸」の船主、横須賀市の譲原亮さん(41)は8月、一緒に仕事をしていた父を亡くした。「片腕になるような人を見つけて育てたい」と、真剣な表情。日大生物資源科学部3年の男子学生(21)=藤沢市=は「漁師の話を直接聞いて、あらためてやりがいのある仕事だと感じた」と意欲を見せる。

 農林水産省によると、県内の漁業就業者数は1963年には約1万人だったが、2013年には2273人まで落ち込んでいる。全国平均より減少ペースが急激で、半数が60歳以上と高齢化も顕著だ。

 こうした傾向を背景に、県は本年度から本格的に就業支援に着手。8月には若手漁業者が体験談を語るセミナーを開き、10、20代も耳を傾けた。10月には実際に船に乗り込む体験研修を開き、12月中旬、来年1月下旬にも予定している。

 また、40歳未満を対象にした「青年漁業者等養成確保資金」制度もアピール。独立する際、船や漁具の購入資金として2千万円まで無利息融資を受けられる。

 ただ、担い手は依然少ない。県水産課は「神奈川は働く場所が多く、転業しやすい要素が考えられる。高度成長期に次々に埋め立てが進んだのも影響している」と打ち明ける。

 漁業生産額は全国28位にとどまる一方で、大消費地を抱える神奈川では漁協も24を数える。県漁連は「漁港や市場の朝市はにぎわっている。県内産の人気は高く、物流や販路が確保されればさらに需要が出てくる」と見込む。

 マッチング会に求人枠5人で臨んだ小田原市漁業協同組合は、一昨年に定置網の一つを更新。漁獲できる魚の種類や量をある程度推測できるようになったという。県水産技術センターの協力で、骨抜きのカマスのフライを販売するなど商品化も進む。同時に流通の多角化を狙うため、担い手を渇望している。

 これまでもミニコミ紙で募集を掛けたが、人材確保が進まなかった。仕事が午前1時ごろから始まるため、採用しても長続きしないケースもあるという。

 マッチング会は単に人を求め、職を求める場にとどまらず、「漁業とは」を発信し、理解する場にもなったようだ。

 県立保土ケ谷高校3年の女子生徒(17)=横浜市戸塚区=は「体力的に大変そうで、県内では女性の需要はなさそう。でも話が聞けて楽しかった」と満足そう。「大徳丸」の三浦市の大井哲雄さん(75)は「もっと多く開くべきだ。漁業の魅力を伝えられるし、参加者にとっても漁師になる方法を探れる場になる」と、今後の開催に期待を寄せる。


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