1. ホーム
  2. 時代の正体
  3. 時代の正体〈225〉法治国家にもとる政府

辺野古新基地建設考 国民の救済制度乱用
時代の正体〈225〉法治国家にもとる政府

時代の正体 神奈川新聞  2015年11月18日 11:51

早稲田大学大学院教授 人見剛
早稲田大学大学院教授 人見剛

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、沖縄県と国の対立は法廷闘争へ突入した。今後は、司法が翁長雄志・沖縄県知事の埋め立て承認取り消し処分の妥当性も含め、国の行政指導の適否を判断する。一方で、すでに埋め立て作業は始まっている。なぜなら防衛省が10月、行政不服審査法に基づき行政手続きを進めたからだ。この動きに対し、行政法学者93人は「政府の手法は制度を乱用するもので不公正であり、法治国家にもとるものと言わざるを得ない」と声明を出した。一体なにが「法治国家にもとる」のか。難解な行政手続きや裁判の行方について行政法が専門の人見剛・早稲田大大学院教授に聞いた。 

 -行政不服審査法とはどのような法律でしょうか。

 「国や自治体など行政機関の処分により不利益を受けた国民を救済するための制度です。行政庁の活動で国民が権利、自由を害された場合、裁判以外の方法として直接、不服を申し立てられるのです。裁判という方法もありますが、時間もお金もかかります。同法を活用することで、国民が直接、行政庁に是正を求めることができるのです」

「私人」装う防衛省




 -この法律が対象としているのは国民ということでしょうか。

 「そうです。同法第1条1項に『国民の権利利益の救済を図ることを目的とする』とあるように、対象はあくまでも国民です」

 -しかし、行政機関である防衛省は同法に基づき、沖縄県知事の埋め立て承認取り消しの効力停止と審査請求を国土交通相に申し立てました。これはどういうことでしょうか。

 「防衛省は自らを名護市辺野古沿岸部を埋め立てる工事の事業者と位置付け、国民と同じ立場にある『私人』として主張しています。しかし、公有水面埋立法は、埋立免許と埋立承認を明確に区別しており、埋立承認は国しかできません。しかも、普天間基地移設事業は一般事業者ができる事業ではありません。『私人』を装い、国民の権利救済制度を用いた行為は制度の乱用です」

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題/100円で24時間読み放題のコースも。詳しくはこちら


シェアする