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ガツッと重量感ある手応えと肉厚で極上の味
トホホ釣り日誌【8】東京湾のスミイカ

カルチャー 神奈川新聞  2015年11月13日 17:12

久保田啓明さんは船内で初めてスミイカを釣った
久保田啓明さんは船内で初めてスミイカを釣った

 秋から冬にかけ本格シーズンを迎えるのが、東京湾のスミイカ。当たりの際の「ガツッ」という重量感のある手応えと、ねっとりと甘い肉厚の身は極上の味で釣り人の心を捉えて離さない。最近主流の和製ルアー、餌木(えぎ)の釣りが楽しめる磯子・根岸丸釣舟店(新井勇樹船長)で旬の釣りと、釣行後の味を存分に堪能してきた。

 本日の釣り物、スミイカはコウイカのことで、ドバッと濃い墨を大量に吐くことから釣り人はそう呼んでいる。

 寿命は1年。大きさは最大0.8キロぐらい。生息しているのは海草が生えた砂泥地や岩礁と砂泥地が一緒になった場所だ。海底の近くにいて、エビ、カニ、小魚を捕食する。冬の終わりから春先にかけて海草などに産卵する。このため、今の時期は盛んに餌を食べるので釣りやすくなる。

 獲物の正体は分かった。さあ、釣りだ。目指すは東京湾の好漁場、中ノ瀬。根岸丸の船着き場から約35分で到着。イカが潜む「たな」は水深16メートルと船長からアナウンスがあり、浅場の釣りだ。

 今回の釣行にはトホホ記者の釣友であり、釣り歴40年、スミイカ釣り名人の力強い味方、段家輝(だん・いえき)さんが同行してくれた。

当たり色を探す

 記者らが陣取る右舷側は苦しい状況。2時間、いくらしゃくっても当たりがない記者だったが、釣友が貸してくれたパール色(白)に替えた途端、「ガツッ」という重たい手応え。しゃくる腕が止まったのでギュンとさおをあおり、フッキング。「やりぃっ」とリールをぐりぐり早回しすると、海面から姿を現したのは、待ちに待った0.2キロのスミイカ。思わず「やったーっ」と大声が出た。

 今回の釣りは、餌木の色やサイズを選ぶのが決め手の一つ。記者は定番色の赤やナチュラルという緑や青系を選択。長さはこの時期に向いている2.5寸(約8センチ)を使った。


ずらっと並んだ餌木。海の状況や当たり色を探すため、替えていく
ずらっと並んだ餌木。海の状況や当たり色を探すため、替えていく

 ただ、この日の当たりはパール色の2.5寸だった。他の釣り人の当たり餌木もこれが多かった。この後、記者にも一回り大きな0.3キロのスミイカと0.5キロのアオリイカを釣らせてくれた。「定番をまず使い、船内の当たり色を聞き、釣るのがお薦め。迷っていろいろな色の餌木を使う“餌木地獄”は避けて」と新井船長。

うまそうに見せる

 釣り方の基本。餌木はプラスチックの本体に鮮やかな布を張ってあるが、どうみてもエビや魚に見えない。これに命を吹き込み、うまそうな餌にみせるのが、釣り人の腕の見せ所だ。

 ポイントはさおのしゃくり方とイカがいる場所を押さえる正確なたな取り。それに、こまめなたなの取り直しだと、新井船長と段さんは異口同音に教えてくれた。

 さて、実釣。中重り、餌木を自分が座っている釣り座近くの海に投入。中重りが海底にコツンと着いた手応えが伝わってきたら、正確なたな取りをする必要がある。一度リールを巻き、糸を潮になじませ、中重りを再び落とし込み、あらためて取るようにすると正確なたな取りができる。

 ここから、ハリス分を巻き上げて餌木が海底近くに漂うようにする。10秒間隔で3回しゃくりを入れたら、たなを取り直す。「スミイカは上からヒラヒラと落ちてくる餌木に反応するようです。こまめなたな取りは重要ですよ」と新井船長。

 しゃくり方のコツだが、さお尻を脇に挟み、空いている手でリール近くを「ポン」と軽くたたくようにしてしゃくるのだが、一度さお先を下げてからしゃくると、餌木の泳ぎがよくなり、効果が上がる(動画)という。「疲れも少なく、長い時間しゃくりができる」とのことだった。




 また、記者は1杯逃したが、手応えがあったら、焦ってリールを巻き上げず、1、2秒おいてさおをあおり、確実にフッキングさせると身切れが減って、逃す機会が少なくなる。落ち着いてリール巻き、取り込むことも重要だという。

3日間待つのだぞ

 どろっとした墨まみれになったスミイカを、釣友であり、中華料理店「来々」を営む段さんにさばいてもらった。

 釣ったその日に食べてもうまいのだが、「さばいた後、冷蔵庫で3日間寝かせると、スミイカの肉厚の身にねっとりとした食感と甘みがまし、極上の味になるよ」と、刺し身にしてくれた。


右上からスミイカのえんぺら(体の周りにあるひれ)のポン酢あえ、刺し身、げその刺し身。どれも釣り人が味わえる極上の味だ
右上からスミイカのえんぺら(体の周りにあるひれ)のポン酢あえ、刺し身、げその刺し身。どれも釣り人が味わえる極上の味だ

 わさびじょうゆで食したが、一口食べて、「これが釣り人の特権」とそのおいしさを実感した次第。

 今回の釣果は0.2~0.4キロが1~15杯。昔ながらのシャコを餌にするテンヤ仕掛けの釣りで挑んだ滝沢俊広さんがさお頭だった(釣友は10杯)。また、スミイカ初挑戦の奥田瞳さんは3杯を釣り上げ、婚約者の下重大和さん(5杯)と楽しんだ様子だった。テンヤをやりたい釣り人は朝、申告する。12月からはテンヤ船との2船体制になるという。


テンヤ釣りで挑んだ滝沢俊広さんは15杯でさお頭に
テンヤ釣りで挑んだ滝沢俊広さんは15杯でさお頭に

 新井船長は「今後、スミイカは大きくなり、重量感があるサイズも多くなります」。



 スミイカの墨汁のような墨がかかると、大災難。新井勇樹船長が墨を避ける取り込み方法を伝授してくれた

(1)リールを巻き上げるが、さおを45度くらい立てると仕掛けが外れにくくなる。

(2)リールは巻き切らず、中重りは目の高さぐらいで止める。

(3)さおを脇に置いてから中重りをつかんだ後、道糸と仕掛けをつなぐ糸、ハリスを手繰って取り込む。

(4)スミイカを船内に取り込んだら、餌木をつかみ、白い腹面からイカの目の辺りをギュッとつかむ。こうするとイカは墨を吐きにくくなる。

(5)餌木を外し、スミイカを驚かせ、墨を吐かせないようにそっとバケツ入れる。

 仕掛けはイラストで


スミイカ仕掛け
スミイカ仕掛け


▽乗船 午前7時出船
▽料金 テンヤは9500円。餌木は9000円
▽問い合わせ 根岸丸釣舟店 電話045(761)5031
▽ホームページ http://homepage2.nifty.com/negishimaru/


小林興烈さんは11杯釣り上げ、笑みがこぼれる
小林興烈さんは11杯釣り上げ、笑みがこぼれる

奥野瞳さんは帰港間近で、スミイカを3杯釣り上げた
奥野瞳さんは帰港間近で、スミイカを3杯釣り上げた

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