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だから私は腕時計派
【久保京子のきれい通信】自分時間のタイムキーパー

話題 神奈川新聞  2017年01月08日 15:15

高級機械式時計を部品製造から完成品の組み立てまで一貫して行っている「雫石高級時計工房」。同社取締役の高橋良治さんと=盛岡セイコー工業(岩手県雫石町)
高級機械式時計を部品製造から完成品の組み立てまで一貫して行っている「雫石高級時計工房」。同社取締役の高橋良治さんと=盛岡セイコー工業(岩手県雫石町)

 寒さの中にも新春のすがすがしさが感じられる季節。皆さまお元気ですか? こんにちは、久保京子です。

 カチカチカチ。新年には時の刻みをひときわ意識する気がしませんか。最近は携帯やスマホがあれば足りるからと、腕時計をしない人もいると聞きますが私は断然、腕時計派。「でも、どうして腕時計じゃなきゃダメなのかしら?」。そんな自問をしているところに、以前セイコーウオッチの商品開発のお手伝いをしたご縁で、盛岡セイコー工業を訪問するうれしいチャンスをいただきました。


工房内でムーブメントの組み立てを実演する組立師の齋藤勝雄さん
工房内でムーブメントの組み立てを実演する組立師の齋藤勝雄さん

クリーンウエアに身を包んで工房内へ。「身が引き締まります」と筆者
クリーンウエアに身を包んで工房内へ。「身が引き締まります」と筆者

 腕時計の最高峰ブランドであるグランドセイコーの機械式時計は、ここ「雫石高級時計工房」で組み立てられています。その様子が見学通路から見学できるのですが、職人さん一人一人のたたずまいと工房全体の静謐(せいひつ)な美しさといったら! 大きく取られた窓からは雪をまとった冬木立が見えて、まるで一幅の絵のようです。

 さらに目を奪われたのが立派な机。「作業机と脇机は岩手の伝統的家具『岩谷堂箪笥(たんす)』の特注品です。岩手の伝統工芸品づくりの心を受け継ぎたいという思いも込めています」(同社取締役の高橋良治さん)。ここでの作業を担っているのは、精鋭の職人さんたち約20人だけだそうです。


時計の心臓部「てんぷ」や歯車の微妙なかみ合わせは、指先で100分の1ミリを感知しながら
時計の心臓部「てんぷ」や歯車の微妙なかみ合わせは、指先で100分の1ミリを感知しながら

 工房内ではムーブメント(時計の機械部分)の組み立てを間近で説明を受けながら見学。厚さ2ミリに満たないムーブメントを、さらに小さな部品(老眼鏡忘れて見えなかった!)を補正しながら組み立てていく技には、思わず息を止めて見入りました。手先の器用さ以上に、集中力や根気強さ、忍耐力が求められるのだとか。だからこそ、工房の環境がこれほど美しく整えられて、職人さんたちの感覚が研ぎ澄まされるように配慮されているのでしょうね。


筆者愛用の「グランドセイコー レディスモデル」はダイヤ入り。ちょっとしたパーティーにも、シャツにジーンズといった普段着にも合わせている
筆者愛用の「グランドセイコー レディスモデル」はダイヤ入り。ちょっとしたパーティーにも、シャツにジーンズといった普段着にも合わせている

 改めて自分の腕時計に目をやると、中に閉じ込められた部品たちの息遣いが感じられるようです。職人さんたちの真剣できれいな目や揺るぎのない指先も目に浮かんできます。なんだか私自身の「自分時間」を腕時計が見守り、タイムキーピングしてくれているよう。そうね、だから私はこれからも腕時計派!

 皆さまも、腕時計とご自分の時間の物語、年の初めに思い返してみませんか。

くぼ・きょうこ モデル。19歳でデビューし雑誌やCMで活躍。モデル経験を生かして靴や時計、バッグなど多岐にわたり商品開発に携わるプロダクト・プランナー。2007年にベストジーニスト賞。著書に「わたしたちは、こんな服を着てきた」(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)。江戸川大客員教授。横浜市在住。


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