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横浜マンション傾斜:住民合意の行方は

社会 神奈川新聞  2015年11月02日 11:52

説明会に向かう保護者ら=横浜市青葉区
説明会に向かう保護者ら=横浜市青葉区

 横浜市都筑区のマンション傾斜問題は、事業主の三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)が10月31日と1日の住民説明会で具体的な補償案についてあらためて言及したことで、全4棟計705戸に暮らす住民側の合意形成の行方に主眼が移る。建て替え決議には住民の多数の賛同が欠かせない。「一つにまとまるのか…」。それぞれ異なる事情を抱える住民には不安と戸惑いが広がるばかりだ。

705戸「まとまるのか」

 「多大なご迷惑やご心配をおかけし、誠に申し訳ございません」。10月31日夜に同市港北区のホテルで開かれた説明会。約900用意された座席がほぼ埋まった会場で、同社の藤林清隆社長はあらためて謝罪した。

 その後、同社が検討した「精いっぱいの補償内容」(藤林社長)を説明した。既に同27日夜、補償案を文書で提示。全棟全住戸の建て替えを基本的枠組みとし、建て替え後に再入居する場合は仮住まいの家賃などを負担すると記載。転居する場合は不動産鑑定士の鑑定評価による建て替え後の分譲想定価格で買い取るとしていた。

 説明会で、新たに「一部建て替え」や「補修」を追加提案。慰謝料として一律300万円を支払う意向を示した。「(全棟建て替えや一部建て替えなど)皆さまにご判断を仰ぎたい」。同社は住民に投げ掛けた。

子育て不安

 出席した住民の思いはさまざまだ。「こんな所にはもう住めない。早く出て行きたい」。くいの施工不良で傾く西棟に住む60代の男性は建て替えを進めるべきと主張する。小学生の子どもを持つ男性会社員は建て替え後、売却するつもりだ。「資産価値が上がるなら建て替えてほしい」。介護士の男性は同居する高齢の両親を思う。「一時退避にしても、両親には心身ともに負担が大きい。そう考えると建て替えない方が良いとも思う」

 何が一番良い選択か。突然の事態に決め切れない住民も数多い。「今すぐどうとは考えられない」と話した40代の男性は不安を口にした。「果たして700世帯が一つにまとまるのだろうか…」

高齢者に負担


 全棟を建て替える場合、このマンションは4棟で構成されているが、建築基準法や区分所有法上は1棟の建物になり、建て替え決議には区分所有者(住民)の5分の4以上の賛成が必要となる。NPO法人横浜マンション管理組合ネットワーク事務局は「かなり高いハードルで、過去の事例を見ても建て替えには相当の時間がかかる」と指摘する。

 マンションの管理組合理事会は今後の取り組みとして、住民へのアンケートや、第三者の専門的な意見を基に方向性を決める意向を示した。理事の一人は来年2月に理事職の任期を迎えることから「できれば半年くらいで方向性のめどをつけたい」としつつ、「現実的には難しい」とうつむいた。「高齢の方、子育て中の方…。やっぱり住民一人一人、事情も意見も違いますから」

三井側に改修費要求棟つなぐ鉄板破損

 横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、マンションの管理組合理事会は1日までに、以前破損した各棟をつなぐ鉄板(エキスパンションジョイント)の改修費を、事業主の三井不動産レジデンシャルに負担するよう求めたことを明らかにした。費用は全4棟で計約1千万円に上り、管理組合が全て負担している。

 管理組合側が東日本大震災をきっかけに破損に気付いた。当初同社に改修費の負担を求めたが、震災を理由に応じなかったという。理事の一人は「今考えると、傾いている西棟の損傷が最も激しい。今回のくいの施工不良と関係があるのではないか」と話す。

 同社は「住民とのやりとりについてはコメントを控える」としている。

市、保護者らに説明くい打ちデータ流用、青葉の中学校 「安全性問題ない」


 旭化成建材によるくい打ち工事でデータ流用があった横浜市立あかね台中学校(同市青葉区)で1日、市は保護者や地域住民を対象にした説明会を開いた。参加者150人に向けて、建物の安全性に問題がないことを強調したという。

 同校は、2011年4月に開校。現在約630人の生徒が在籍している。流用があったのは、校舎棟などのくい15本に注入したセメント量に関するデータ。

 市建築局によると、流用分を含む210本のくい全てが堅い支持層に達していることに加え、セメントの納入実績や施工時の立ち会い記録などを確認。必要量のセメントが注入されており「建物とくいの安全性には問題がない」との見方を保護者らに示した。

 参加者からは「施工管理の責任はどこにあるのか」「いつ調査したのか」などの質問があったという。

 説明会に出席した3年生の母親は「新しい校舎だったのに」と困惑気味。3年生の父親(47)は「安全と聞いてまずはひと安心。(市からの)連絡時期も早かった」とほっとした様子だった。

 一方で、「説明の場に旭化成建材がいないのは違和感がある」と憤る保護者も。次々と明らかになる同社の不正に「一体いつまで続くのか」とあきれ顔だった。


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