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CQ-Sネット(横浜市神奈川区)LEDで独居見守り
神奈川工業技術開発大賞〈2〉

経済 神奈川新聞  2015年10月29日 10:01

高齢者の見守りシステムの計測データを説明する齋藤社長
高齢者の見守りシステムの計測データを説明する齋藤社長

 発光ダイオード(LED)の照明器具に内蔵したレーダーで独居の高齢者を見守るシステムを開発した。脈拍や呼吸などのバイタルデータを計測し、安否確認にも活用できる。齋藤光正社長は「独り暮らしは個室が『孤室』に、一戸建てが『孤建て』になり得る。室内を明るく照らすだけではもったいない。そっとやさしく見守りたい」と話す。

 「病気になる前の日常的な健康状態を把握したい。継続的な在宅見守りシステムができないか」。2011年、きっかけは看護が専門の大学教授からの相談だった。浴室での電源確保が難題だったが、照明器具を活用すれば家中で見守りができると思い付いた。東日本大震災後、省エネ志向が高まり、熱をためないLED電球が普及し始めていたことも開発を後押しした。

 寝室の天井から部屋全体に電波を照射すると、衣服や布団などを透過する一方、ベッドに横たわる人の皮膚の水分に反応する。センサーが反射波を捉えて解析し、天井からの距離を測定することで起き上がりや離床などの行動を把握することができる。胸の上下運動から睡眠時の呼吸状態も判別可能だ。トイレなどでは正常に座った時と倒れた時の距離の違いなどから、しゃがみ込みなどの異常を捉え、通信装置を使って離れた家族などに伝える。

 「非接触で計測するため対象者に負担はない。プライバシーにも配慮し、カメラと違って不快感を与えることもない」と齋藤社長。「電波を使ったバイタルデータの計測は、先進的な研究で知られる米国のマサチューセッツ工科大学にも先行している」という。日本や米国など6カ国・地域で特許を取得した。

 センサーはわずか7×12ミリのサイズだが、用途は幅広い。複数人を同時に検出できるため介護施設などでも導入可能。保育器の外から照射して新生児を見守り、街路灯などに設置すれば混雑状況なども把握できる。

 実証実験を重ねており、施設などでの利用を視野に年内に実用化したい考え。今後は医療機関などとのネットワーク化を目指す。齋藤社長は「日本人が開発し、ノーベル賞を受賞したLEDを活用して世界中を照らしたい」と話している。

 

◆CQ-Sネット 2009年4月設立。資本金1千万円。電子制御機器のソフトウェアや在宅看護支援ネットワークシステムの開発・販売など。従業員数5人。横浜市神奈川区鳥越。


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