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国方針「地方創生の一環」 県内自治体「地元に必要」
JAXAなど政府機関の移転 誘致、残留で綱引き

政治行政 神奈川新聞  2015年10月26日 11:35

 地方創生の一環として首都圏に集中する中央省庁や研究機関などを移転させる方針をめぐり、国や自治体の間で綱引きが続いている。県内では海洋研究開発機構(海洋機構)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、理化学研究所(理研)など8機関が対象。全国から誘致が提案されているが、地域の資源と位置付ける県内の地元には残留を求める声も強い。政府が最終方針を決める年度末に向けて、要望合戦が熱を帯びそうだ。

 提案は69機関 
 政府は東京、神奈川、千葉、埼玉を除く43道府県に対して誘致したい機関を示すよう求め、8月までに鹿児島県を除く42道府県が計69機関の誘致を提案した。複数の自治体が競合する機関も少なくない。

 県内にある政府機関のうち、小惑星探査機「はやぶさ2」の開発拠点でもあるJAXA相模原キャンパス(相模原市)の誘致には、岐阜県などが名乗りを上げた。岐阜には各務原市を中心に航空宇宙分野の企業が集積する。同県は「研究交流で人材育成に取り組める」と誘致に意気込む。

 民間に範示す 
 広島では呉が旧軍の軍港としての歴史を持ち、海上自衛隊幹部候補生学校(江田島市)などの防衛関連施設が今も多い。同県は「歴史的背景もあり国の機能を損なわずに移転できる」として、防衛大学校(横須賀市)の誘致を提案した。

 都市圏からの政府機関の移転は過去にも竹下内閣時代にも実施されたが、多くは横浜や埼玉など近郊への移転にとどまり「地方移転という名にふさわしかったか」(石破茂地方創生担当相)との声も出ていた。政府は今回、企業にも本社機能の地方移転を促しており、政府機関の移転には民間に範を示す意味合いもある。

 だが、神奈川で各機関をシティーセールスの資源としてきた地元には当惑が広がる。雇用者がもたらす経済効果や施設の一般公開を通じた人出など、既にまちづくりの重要な要素になっている実情があるからだ。

 「強い違和感」 
 横須賀市では防大や海洋機構など地元4機関が検討対象に挙がった。吉田雄人市長は「人口減少に苦しんでいる街が都市圏とされることに強い違和感がある。地元に根付いたものは早急に対象から外してほしい」。相模原市も「はやぶさの故郷」としてPRに注力している現状を、JAXAや文部科学省に訴えた。

 県も政府のまち・ひと・しごと創生本部事務局が実施したヒアリングで、事情を説明した。「地方創生の趣旨には反対しないが、政府機関が集中しているのは神奈川より東京の都区部」(県政策局)。県議会も移転に反対する意見書を議決、19日に土井隆典議長が菅義偉官房長官に提出した。26日の県と3政令市による4首長懇談会でも国への要望について話し合う。

 政府は11月から有識者会議を開き、年内に地方の提案の評価と方針案をまとめた上で、来年3月までに結論を出す方針としている。


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