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洪水時の避難対策強化 多摩川など3河川 住民と危険箇所点検も

社会 神奈川新聞  2015年10月19日 12:09

 関東・東北豪雨を受け、国土交通省京浜河川事務所(横浜市鶴見区)が今月から、管理する1級河川の多摩川、鶴見川、相模川で住民を巻き込んだ避難対策の強化に乗りだした。決壊の恐れがある地点を自治会などと共同で確認する作業を多摩川から開始。流域の宅地開発が進んだこの3河川で洪水が起きると被害が深刻化するため、過去最大規模の雨が降った場合の氾濫想定を来夏までに公表し、洪水のリスクを共有する。併せて、浸水の影響で家屋倒壊の危険性がある区域も初めて示し、迅速な避難行動につなげる考えだ。

 いずれの取り組みも、関東・東北豪雨を受けて同省が打ち出した「避難を促す緊急行動」の一環。豪雨時の鬼怒川決壊では、地元の茨城県常総市の避難判断が遅れ、浸水地域に取り残された多くの住民が自衛隊のヘリコプターなどで救助される事態となった。

 多摩川なども堤防整備は完了しておらず、高さが不十分だったり幅が狭かったりして決壊しやすい地点がある。こうした場所について従来は地元自治体と点検していたが、新たに近隣住民にも加わってもらうことにした。

 先行して多摩川下流の川崎市川崎、幸両区で9日に実施した点検には、近隣住民や消防団員が参加。近くに住む小泉二三男さん(69)は「鬼怒川の決壊は決して人ごとではない。多摩川沿いの住民も意識を持つべきで、こうした試みをさらに広げてほしい」と訴えた。川崎区殿町3丁目地区連絡協議会副会長の高橋和夫さん(82)は「町内には新しい住民が増え、過去の水害を知らない人もいる。これまでの経験を伝えていかなければ」と共助の必要性も指摘した。

 最大級の氾濫想定は、5月に成立した改正水防法に基づく取り組みで、今回の豪雨を受けて公表を1年程度前倒しし、来年の梅雨入り前に間に合わせる。3河川については、2日間の総雨量が400ミリを超える150~200年程度に1度の大雨による氾濫想定を10年以上前に公表済みだが、より激しい雨となった場合の影響範囲を推計する。

 その際、浸水による家屋への影響も試算。洪水が発生すると一般的に堤防の近くで浸水の水位が深くなり、堤防を越えて住宅地などに流れ込む水の速度も速くなる。氾濫想定の公表に合わせ、こうした地域を家屋倒壊の危険区域に設定し、周知していく考えだ。

 また、豪雨時に市町村が避難勧告・指示をためらいがちな現状を踏まえ、流域市町の首長らを対象としたトップセミナーも開く。天気予報などであらかじめ接近の可能性や時期が把握できる台風の際に自治体や住民が取るべき対応を時系列で定める行動計画「タイムライン」の整備も進め、自治体の判断を支援していく。

 相模川を対象としたタイムラインを試行している茅ケ崎市の防災担当者は「河川事務所との間で情報のやりとりが密になり、避難判断などのよりどころになっている」と効果を実感しており、今後の本格運用を視野に入れている。


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