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米軍横須賀基地の銃体験 「不起訴相当」を議決

社会 神奈川新聞  2015年10月17日 03:00

 在日米海軍横須賀基地(横須賀市)で行われたイベントで子どもたちに銃を触らせたとして銃刀法違反容疑で告発され、不起訴処分(罪とならず)となった当時の基地司令官ら2人について、横浜第1検察審査会は「不起訴相当」と議決した。ただ、横浜地検の一部の捜査については「不十分」などと批判した。議決は15日付。

 議決書は、「米海兵隊員らが監視をしており、鉄砲としての利用も認められない」として、銃刀法の所持罪や貸し付け罪には当たらないとし、不起訴は相当と結論付けた。

 ただ、イベントで展示された8丁のうち、7丁について検察は「鉄砲」に当たるかを明言していないとした上で、「銃弾が装填(そうてん)されていなくても『鉄砲』に該当すると認めざるを得ない」と指摘。「検察の判断は相当ではない」とした。

 また、実際に銃に触れさせた海兵隊員の特定に至らなかったことについては、「一定の捜査をしたことがうかがえるが、人物の特定については多少捜査が不十分であった感があることは否めない」と言及した。

 問題のイベントは、日米親善を目的に2013年8月に開催された「ヨコスカ・ネイビー・フレンドシップデー」。市民団体が当時の基地司令官らを刑事告発したが、横浜地検は今年1月、「銃刀法違反の構成要件に当たらない」として不起訴処分としていた。

 申し立てを行った市民団体の代理人の中村晋輔弁護士は「米軍に対する捜査のあり方について一石を投じてはいるが、結論は承服できない」と述べた。

弱腰の捜査を批判


 検察審査会の不起訴相当を受け、在日米軍基地や日米地位協定の問題に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛教授は「米軍関連の捜査に関する検察の弱腰姿勢が浮き彫りになった」と話す。

 日米地位協定に関わる裁判権は、公務中の行為なら1次的に米国にあるが、米国には銃刀法がない。今回の市民団体による刑事告発は、日本の法律を基地内の米軍関係者に適用できるかという問題提起だった。

 審査会は不起訴相当とした一方で、犯罪事実に関する特定性については「一定の捜査をしたことがうかがえるが、人物の特定については多少捜査が不十分であった感があることは否めない」と指摘している。

 この一文が検察の姿勢を象徴している、と断じる前泊教授は「日米地位協定では、軽微な犯罪について日本側は捜査しないという密約があるといわれている。それは米兵らの起訴率が(日本人と比べ)低いことからも分かる。今回も、捜査はほぼ行っていなかっただろう」と推測する。

 沖縄でもかつて、米軍基地内の日本人警備員が銃を持つことが国内の銃刀法違反に当たるか議論が起きたが、政府は明確な答えを出していない。前泊教授は「こうした問題をきちんと主張してこなかったから、銃体験なども既成事実化され、慣らされてきた。主権国家といえるのだろうか」と強調した。


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